暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第217話:巡り合う策謀
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分達ではジェネシスの幹部に勝てない。それを理解しているヴァネッサは苦い顔をしながらも堪えて下がり、エルザは不満を口にしながらもそれ以上前に出る事は出来ずにいた。

 力尽くで押さえつけられる2人を前に、しかしワイズマンは何処か楽しそうに喉の奥で笑いながら口を開いた。

「ククッ、まぁそう焦るな。何事にも段取りと言うものはある物さ」
「段取り?」
「そうさ。ウィザードは切り札となるカードを手に入れたと思っているだろうが……フフフッ、果たして本当にそうかな?」




***




 颯人が査察官を相手に交渉している頃、彼がミラアルクを連れて行った医務室ではちょっとした騒動が起こっていた。

「う、ぐ……」
「はぁ……! はぁ……!」

 医務室奥の集中治療室。ハンスが寝かされているのとは別の部屋で、アリスが床に倒れその前に憤怒の表情をしたミラアルクが拳を振り抜いた姿勢で肩で息をしていた。興奮を抑えきれていない様子のミラアルクの目は薄っすらと血走っており、そんな彼女の服の裾をキャロルが必死に引っ張って抑えようとしていた。

「止めろ……!?」
「うるせぇ、離せッ!? コイツが、コイツの所為で……!?」

 颯人がミラアルクをここに連れてきて奏達の所へ戻った後、状況を理解できていない彼女をアリスは取り合えず飲み物を渡して落ち着かせた。薄々ここがS.O.N.G.の本部である事は分かるのか最初警戒していたミラアルクだったが、穏やかな彼女の雰囲気に次第にミラアルクも一応の冷静さを取り戻した。
 そして彼女が落ち着いた頃合いを見計らって、アリスは自分達がミラアルクの肉体的事情を把握している事、そして自分がその遠因である事を正直に伝えた。

 それを聞いた瞬間、ミラアルクは先程と別の理由で冷静さを失った。直接的ではなくとも、自分達が人生を狂わされた原因の一つとなった相手が目の前に居るのだ。冷静でいられる筈がない。
 気付けばミラアルクは拳を握りアリスを殴り飛ばしており、その騒音を聞いて隣の部屋でハンスを見舞っていたキャロルが飛び込み慌ててミラアルクの服の裾を掴んで引っ張り今に至っていた。

「本当に……本当にお前が……!?」
「え、えぇ……そうです。あなた達に施された処置の大本となる技術は私が考えだしました」

 激昂するミラアルクの問い掛けに、アリスは殴られて赤く腫れた頬を押さえながら起き上がった。違和感を感じるので口の端を親指で拭うと、僅かにだが血がこびり付いていた。殴られた拍子に少し切れたらしい。ミラアルク達は肉体改造の影響で身体能力も大幅に向上している。しかも今の瞬間、ミラアルクは激昂のあまり容赦を忘れていた。普通に考えれば口の端を切るどころか頭が?げていてもおかしくはなかっただろう。そうなって
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