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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十七 対話
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いじめたってシカマルに怒られる羽目になりそうだな」


既にナルをシカマルの嫁に貰う気満々の発言を聞かなかったふりをしつつ、いのいちは助言をひとまずしてやった。

「とりあえず、おっちゃん呼びをやめてもらうところから始めたらどうだ」





そうして、シカマルの嫁候補兼里の英雄が向かった先を気遣わしげに見遣る。
今更ながら、木ノ葉の里を壊滅させた敵の懐へ自ら飛び込んだナルを心配して、いのいちは改めて問うた。


「しかし…本当にいいのか?ひとりで行かせて…」
「今更だな」

肩を竦めてみせたシカクは、既に姿無きナルが立ち去った彼方へ視線を投げると、双眸を閉ざす。
瞼の裏に過るのは、ナルを心から信頼し、一緒に歩いていきたいと願うシカマルの姿。



息子が信じた彼女を、父親であり大人である自分もまた、信じようと思う。
それだけの強さが波風ナルにはあった。



「ナルに託してみよう」




























派遣しておいた黒白の蝶。
情報収集や周囲探索に散開させているそれらからの報告で、ナルトは閉ざしていた双眸を開いた。

「白・再不斬。撤退するぞ」


十分も経たないうちに御堂から声がかかる。
戸惑い気味の白に反して「あいよ」と慣れた様子で再不斬は首切り包丁を肩に担いだ。

「まだ十分も経ってないですよ」
「もう十分だよ」


同じ語句でも意味合いが違う言葉を口々に発する。
不服そうな白をよそに、痕跡を消す為、【霧隠れの術】を発動させようとした再不斬は直前で阻止された。

「その術は使わなくていい」
「だがこの堂が見つかるぞ」
「朽ち果てた此処も雨風を凌ぐくらいはできるだろうさ」


誰かに譲るような物言いをするナルトに、訝しげな顔をしつつも印を結ぶのをやめた再不斬は、御堂に誰かがいた痕跡を消すのみに止める。
その間に【影分身の術】で、ひとり、影分身を残しておいたナルトは、白と再不斬を連れて、御堂を後にした。


やがて木の影から、御堂に近づく存在を確認した影分身は、黒白の蝶を置いて気配を消す。
誰もいない荒れ果てた御堂を見つけて、これ幸いとばかりに御堂の中へ警戒しながら上がり込む忍びを、黒白の蝶が音もなく見下ろしていた。





















ペイン六道を動かす黒い杭へチャクラ信号を送信する為に一番効率的な場所。
より広く遠くへ送信する為に木ノ葉近くの高い樹木の内で、待ち構えていた長門は近づいてきた足音に気づくと顔を上げる。

逆探知して辿り着いた、小南の術の紙で形作られた偽の樹木。
紙で
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