第三部 1979年
迷走する西ドイツ
暮色のハーグ宮 その3
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ココットは目を閉じて、マサキの出方を待つ。
「済まなかった。
不意の内にお前を……」
マサキが、戸惑った表情で口ごもる。
目を見開いたココットは、顔を寄せて、マサキの表情を見た。
「ねえ……
何を考えているの……」
答えを引き出すまで、ココットは引き下がらないつもりだ。
マサキは、ココットに驚嘆すべき情熱があることを今知った。
「俺と暮らせば、死ぬか、生きるかを、ギリギリの日々で過ごすことになるぞ。
女の身空で、耐えられる自信はあるか……」
マサキとの冒険の日々にはドキドキ感が伴ったが、この先どんなことが起こるだろうという興味や不安もあった。
ココットの中に、様々な感情が交差した。
「落ち着いたら、私に連絡を頂戴……」
ココットは右手で、電話番号を書いた名刺を、マサキのシャツの胸ポケットに差し込む。
すると、マサキがいきなり抱き寄せる。
「ただ、浮気はゆるさんぞ。
俺以外の男に、その身を預けるような真似はするなよ」
マサキは、そういって、ココットのスカートに指を走らせて、雄大なヒップを撫でた。
何の気なくマサキの行動を許してしまったが、ココットは後から、かあっと熱くなった。
「……はい」
ココットは、襟もとまで赤くしながら、どうしていいか知れないような心地だった。
呆然とする彼女をしり目に、マサキはゲーレン邸を後にした。
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