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猫がいると
第三章

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「アホですね、その人は」
「愚かとしか言い様がないですね」
「マルクス主義の人が全部そうとは限らないにしても」
 それでもとだ、山本は話した。
「無神論になりますと」
「そこまで、ですね」
「愚かになりかねないと」
「師匠は思われますか」
「はい」
 そうだというのだった。
「拙僧としましては」
「左様ですね」
「ですが」 
 それでもというのだった。
「神仏を信じてです」
「学ぶとですね」
「それが景機に至らなければ」
「間違えないですね」
「その人は自分の力だけで生きると言っていましたが」
「そんな人ですと」 
 新田は顔を顰めさせて言った、二人共今は作務衣姿なのでよく動けている。作業の時はいつも作務衣なのだ。
「自分の力だけだと」
「間違えますね」
「今どうしているでしょうかね」
「確実に間違えまして」
「人生自体を」
「それで、です」
 山本は新田に話した。
「沖縄の基地の前にでもです」
「いそうですね」
「はい、間違えている可能性が高いとです」
「師匠はお考えですね」
「人生自体を」
 まさにというのだ。
「思います」
「そうですね」
「おそらく猫のこともです」
「考えていないですか」
「そうかと。自分のことだけで」 
 考えることはというのだ。
「他の人のこと、それにです」
「猫のことかですね」
「命のこともです」
「考えていないですか」
「他の人、命のことを考える」
 そうすることもというのだ。
「それもです」
「色々なものが必要ですね」
「余裕、識見、思いやりと」
「そうですね」
「そうしたものがです」
「師匠がお会いした人にはですか」
「関西の人でも阪神ファンは全体主義的とか言っていましたし」
 山本はこのことも話した。
「これが」
「あの、関西人で」
「巨人に勝つと特に酷いなぞと」
「ああ、その人巨人ファンですね」
「拙僧が聞くと無言で頷いていました」
 そうだったというのだ。
「これが」
「間違いないですね」
「はい、そして巨人は」
「あのチームが一番全体主義ですよね」
 新田は嫌そうに述べた、尚この二人だけでなく寺にいる者全員がアンチ巨人で阪神やソフトバンクや広島やロッテを応援している。
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