第6話 悪巧みガールズ
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仁菜は安和天童と別れた後、すばるの自宅に来ていた。そこですばるが本当はドラムを続けていきたいこと、祖母に言えずにいることを知る。すばるは演技を恥ずかしいと言っていたが嫌いなわけではないのだろう。他人には触れてほしくない事情があるという桃香の言葉が分かった気がする。
「で、すばるちゃん!作戦会議って何?!」
「桃香さんと瑞貴さん、くっつけちゃわない?見ててもどかしいんだよ、なんかさ」
「でも…私たち白石さんのこと全然知らないんだよ?」
「そこはほら、外堀を埋めながらそろりそろりと」
「嘘つき!」
「それは嘘つきじゃない!全く。たぶん瑞貴さん“楔”は打ち込めたと思うんだよね。少なからず桃香さんも意識はしてるだろうし」
「再会して速攻で告白とか…東京えずかー!」
「川崎ね?あんたが顔赤くしてどうすんのよ。あれは、あんたを信用させる意味もあったと思うよ。きっかけが欲しかったのかもしれないけど」
「うっ…」
仁菜は瑞貴に対する態度を思い出し罪悪感を覚える。人見知りを直したいが、どうしても初対面の人は警戒してしまう。彼は特に無理に仲良くしようとはしてこなかった。しかも桃香のファンだと言う。いつか語り合える日が来るかもしれない。
「ニーナのあの態度見ても嫌そうな顔ひとつしなかったからね。ましてや瑞貴さん年上でしょ?失礼だったと思わない?」
「ごめんなさい…」
「それは瑞貴さんに言いなよ」
「わ、分かってる。というか、すばるちゃん。名前呼び…」
「あっ、瑞貴でいいってラインで言ってたよ。『用事大丈夫だったか?仁菜にもよろしく』って。桃香さんにもライン教えといた」
「手が早いね」
「何よ?嫌な言い方だな!」
「それより作戦!嫉妬心煽って2人をくっつけるのはどうかなって思って!まずは私やニーナで瑞貴さん誘惑して」
「む、無理だよ!」
高校生時代、仁菜に彼氏ができたことはない。恋愛経験のない彼女に異性を誘惑するなど到底、不可能な話だった。
「じゃあ誘惑は私がやるから!ニーナは瑞貴さんと普通に話してて!ファン同士、意気投合してたらさすがに桃香さんも何かしら考えると思うんだよ!」
「そんなに上手くいくかなあ?」
「いいからやるよ!新川崎(仮)のためにも頑張ろー!」
「ガ、ガンバリマス…」
バンドの未来は前途多難だと思いながら、仁菜はすばる宅を後にするのだった。
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