第百四十話 ささやかなご馳走その十五
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「そうよね」
「これは自分でね」
「気を付けないといけないわね」
「騙されていた方が幸せなら」
「そんなお話もあるわね」
「その人元いた場所が」
それがというのだ。
「相当にね」
「酷いところで」
「地獄みたいで」
そう言っていい場所でというのだ。
「騙されていた方がね」
「いいって思う位の」
「そんな場所にいて」
それでというのだ。
「言ってるんだよ」
「その場合は」
「そんな人はね」
それこそというのだ。
「仕方ないっていうか可哀想っていうか」
「どうにもならないかしら」
「うん、けれど騙されていたら」
それならとだ、伊東は言った。
「例え幸せに感じていても」
「偽物ね」
「嘘だからね」
「騙されているってことは」
「だからそこが楽園に思えても」
「嘘の楽園ね」
「そうした人は」
伊東は深く考える顔で言った。
「騙されていることを教えてあげて」
「そこから出てもらって」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「本当の世界にいた方がいいよ」
「やっぱりそうよね」
「当然元いた場所にはね」
そこにはというのだ。
「戻ったらいけないよ」
「そこは地獄だったら」
「それならね」
「他の場所、嘘じゃない場所に行って」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「幸せになるべきだよ」
「それがいいわね」
「絶対にね、騙されて幸せに思っても」
「それは嘘の幸せね」
「そうだよ、本当の意味で幸せにならないとね」
「駄目で本当に幸せになれたら」
「いいね」
伊東は微笑んで言った。
「それなら」
「そうね、私もそう思うわ」
留奈は伊東の言葉に笑顔で頷いた、
「騙されないことね」
「まずはね」
「それで幸せになることね」
「本当の意味でね」
「そうね、今こうして飲んで食べて幸せだし」
留奈は今の話もした。
「いいわね」
「そうだね、じゃあまた何かあったら」
「こうしてね」
「飲んで食べよう」
「そうしましょう」
焼酎を飲んでから応えた、二人はつまみが完全になくなるまで飲んだ。その頃にはもうすっかり酔っていてだ。
二人で飲むのが終わってからも二人は幸せを感じられた、留奈は伊東との会話を思い出しながら騙されないで幸せになろうと決意した。
第百四十話 完
2024・7・1
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