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人を守る神
第二章

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「殺すのだからな」
「そうです、家畜もですね」
「そうなる」
「家畜はいれば仕事の助けになりますが」
「畑仕事にもものを運ぶにも使えるからな」
「そして乳も出してくれて」 
 そうなりというのだ。
「肉は美味く革も使えます」
「ただ殺せばだな」
「何の意味もありません」
 そうだというのだ。
「とても」
「その通りだな」
 エラも確かにと頷いた。
「戦をしてはな」
「はい、これはもう一度です」
 イシュムはエラに自分の考えを述べた。
「神々にです」
「神託を伺うべきだな」
「まことに戦を望まれているのか」
「そして人や家畜を屠るべきか」
「そうしましょう、我が国は大きく強く」
 そうした国でというのだ。
「戦をすれば周りの国はです」
「何なく滅ぼせる」
「周りのどの国も圧倒しています」
「どの国も即座にだ」 
 戦を行えばというのだ。
「滅ぼせてな」
「人も家畜も好きなだけ屠れますが」
「そうすればな」
 どうなるかとだ、エラも言った。
「そなたの言う通りだな」
「神々を讃える人が死に」
「折角役に立つ家畜がな」
「仕事に役立ち多くの恵みをもたらしてです」
「国を豊かにするがな」
「また人のことをお話しますが」
 イシュムはあらためて彼等のことを話した。
「人が多いと国もです」
「大きく強くなる」
「その分。ですから」
「神々にだな」
「聞いてみましょう、まことに戦をお望みか」
「それではな」
 エラは宰相の言葉に頷いてだった。
 再び神々に神託を伺った、すると四つの目を持つ神マルドゥークが彼の夢に出て来てそして言ってきた。
「そなた達が思った通りだ」
「戦は、ですか」
「我等は実はな」
「望まれていませんか」
「そうだ、戦をすればな」
「そして人と家畜を屠れば」
「ただ血が流れるだけでだ」
 それだけに過ぎずというのだ。
「我等を讃えるべき人は減り」
「国を豊かにする家畜もいなくなる」
「折角領土を拡大してもな」
「それだけですね」
「そうだ、だがそなた達の君は大きく強いな」
「周りのどの国よりも遥かに」
「だからだ」
 そうであるからだというのだ。
「周りの国々に降る様に言えばだ」
「降りますか」
「戦っても勝てぬからな」
 だからだというのだ。
「自分達からだ」
「降りますか」
「そうする」
 間違いなくというのだ。
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