第一章
[2]次話
神官の苦労
神官見習のセスは日々学んでだった。
神官の務めを見習の立場から果たしていた、その中で教育係であり師匠であるオシス初老の男性である彼に促されていた。
「では行きますよ」
「これから沐浴ですね」
「その時になりましたので」
面長の顔に多くの皺がある彼はセスに穏やかな声で話した。
「行きましょう」
「はい、そうして身体を清めますね」
「そうです、清めることはです」
身体をとだ、オシスは大柄で四角い顔に太い眉を持つ彼に言った。
「極めて大事です」
「私達にとって」
「エジプトの民特にです」
「私達にはですね」
「神にお仕えしているのですから」
それ故にというのだ。
「学び務めを果たすと共に」
「身体を清めることもですね」
「欠かしてはいけません」
絶対にというのだ。
「そうなのです」
「だからですね」
「今から沐浴です」
「今日二度目の」
「そしてです」
オシスはセスにさらに話した。
「次に入るものを含めてあと三回」
「沐浴をしますね」
「はい」
そうするというのだ。
「私達は」
「そうして身体を常に清めますね」
「そうするうのです」
「わかりました」
セスはオシスの言葉に頷いてだった。
彼と共に沐浴をした、その後で学問に励み神に仕える務めも行った。そうしてあと二回沐浴をしてだった。
師匠と共に休んだ、その次の日は。
身体中の毛を剃った、そうして奇麗になった手足を剃った頭を撫でつつ言った。
「いや、剃ることも」
「常ですね」
「エジプトの民はです」
セスは自分と同じく身体の毛を全て剃ったうえで服を着たオシスに言った。
「確かに髪やお髭を剃り」
「余計なものが付いて汚れない様にです」
「していますが」
「それでもですね」
「私達はです」
神官達はというのだ。
「実にです」
「忙しいですね」
「そうです」
まさにというのだ。
「こちらのことでも」
「あの」
セスはオシスにその太い眉を曇らせて言った。
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