第一章
[2]次話
新説北風と太陽
旅人に服を脱がせる勝負をしてからです。
すっかり力技だけでは駄目だという考えになった北風は太陽に言いました。
「今度はよりよくだよ」
「旅人の服を脱がせることだね」
「君はその輝きで熱を出してね」
こう太陽に言うのでした。
「旅人を脱がせたけれど」
「今度は君が服を脱がせるんだね」
「今度こそね」
「そうするんだね」
「それで今色々考えているけれど」
それでもというのです。
「僕はわかったんだ」
「旅人の服を脱がせるにはだね」
「暖かい、もっと言えばね」
「熱だね」
「そう、それで暑くなったら」
そうなればというのです。
「旅人も服を脱ぐよ」
「そうそう、そうなんだよ」
太陽もその通りだと答えました。
「熱で暖かく、暑くなれば」
「そうなればだね」
「旅人は服を脱ぐよ」
「それであの時みたいに川に飛び込むね」
「涼しくなる為にね」
「そうだね、だからね」
北風はそれでと言いました。
「僕は今度ね」
「旅人が来たら」
「新しいやり方でだよ」
「服を脱がすんだね」
「そうするよ、だからね」
それでというのです。
「今は旅人を待つよ」
「そうするんだね」
「今はね」
こう言ってでした。
北風は今は旅人が来るのを待ちました、そしてです。
旅人が来るとです、太陽に言いました。
「ではね」
「今からだね」
「旅人の服を脱がすよ」
「僕が前にそうしたみたいにだね」
「うん、そしてね」
そのうえでというのです。
「彼を川に飛び込ませてみせるよ」
「ではお手並みを見せてもらおうかな」
「見ておいてね」
笑顔で頷いてでした。
そうしてでした、そのうえで。
北風は旅人に向けて風を出しました、その風はというと。
「あれ、暑いな」
「ふふふ、今度の風は違うよ」
北風は笑顔で言いました。
「前は強いだけで冷たい風だったけれどね」
「穏やかな風だけれど」
旅人はその風を受けて言いました。
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