第三章
[8]前話
「是非この酒塚を寺に移してな」
「心ある人に手を合わせてもらいますね」
「そうなる様にしよう」
確かな声で言ってだった。
酒塚を境内に移し奇麗にして祭った、するとその話を聞いた世の心ある人達は唸って言ったのだった。
「徳のある行いだ」
「酒にあるものも大きい」
「酒の精のお言葉通りにされるとは」
「これで酒の精も喜ぶ」
「よいことだ」
「そういえばだ」
ここである者が言った。
「住職は般若湯がお好きだが普段からな」
「御仏の心を守られてな」
「そして侵攻を忘れていないな」
「見事な方だ」
「確かな僧であられるな」
「そうした方だから」
それ故にというのだ。
「こうしたことにもつながるのだろう」
「そうだな」
「酒の精も住職の徳をご覧になられたのだ」
「そして頼んだのだ」
「そうだな」
「では我々も参ろう」
「酒と住職と仏門に手を合わせよう」
こう言ってだった。
心ある者達は日緬寺に参って手を合わせる様になった、そしてそれが続き毎年秋にはこの寺で酒塚の法要が行われ。
全国の造り酒屋から酒が寄進され集まり振り舞われる様になった、それは現代にも至っていて。
その酒を見てだ、ある酒好きの男が笑顔で言った。
「飛山って人が酒塚を立ててな」
「それでなのね」
「その酒塚がこの寺に移されて」
共にいる妻に話した、観光でこの寺に来たのだ。
「そしてな」
「今も法要が行われているのね」
「ここでな、沼津はな」
男はこの街の話もした。
「最近聖地になってるな」
「アニメのね」
「それで有名だがな」
それでもというのだ。
「こうしたものもあるんだ」
「そうなのね」
「そして法要の時に来たら」
「こうして飲めるのね」
「ああ、酒塚のもすばらしいが」
「飲めることもいいっていうのね」
「お酒への信仰に感謝だよ」
妻に笑顔で話した。
「本当にな」
「信仰とお酒どっちが大切かしら」
「どっちもだよ」
こう言って飲むのだった、その酒はとても美味く感じ彼は満足した。そして酒を楽しみながら法要に参加し酒塚とそこにいる精に瑞光そして立てた飛山に妻と共に手を合わせたのだった。
酒塚 完
2024・5・13
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