第二章
[8]前話
実際に宴を開いた、最初に日女命が酒を捧げそれからだった。
宴が開かれたがここでだった。
「あの、これでです」
「何がわかるのでしょうか」
「一体」
「神々が宴をはじめられましたが」
「何がわかるのでしょうか」
「すぐにわかる」
長はいぶかしむ村人達に答えた。
「だから今はな」
「このままですね」
「見ていることですね」
「そうすればいいですね」
「我等はな」
こう言って村人達にも宴を開かせた、彼等は人が耕した田の稲穂で造った酒を飲んだ。そのうえで神々の宴を見ていたが。
ここでだ、日女命が生んだ子がだった。
宴を開く神々のうちの一柱をじっと見た、それはまだ若く結婚していない天目一命という神であった。
その神をじっと見た、すると。
「まさかと思うが」
「はい、どうやらです」
日女命は一命に応えた。
「あの時の子です」
「そうなのだな、ではだ」
「子が出来たなら」
「私も責を取らないといけないな」
「そうですね、それでは」
「夫婦になろう、そしてだ」
それと共にというのだ。
「私達の子もな」
「育てましょう」
「そうしよう」
こう話してだった。
二柱の神々は夫婦になった、村人達はその一部始終を見て話した。
「こういうことか」
「成程な」
「神が耕された田の稲穂で造られた酒には神々が集まられる」
「そして宴を開かれる」
「そこで日女命の生まれたお子の父神もわかる」
「お子が見られた神こそがですね」
「そうだ、全て上手くいった」
まさにとだ、長は笑顔で話した。
「まことにな」
「そうですね」
「まさにです」
「お子の父神がわかり」
「日女命と一命は夫婦となられました」
「そしてお子も育てられることになりました」
「そうなった、しかしな」
ここで長はこうも言った。
「我等はな」
「我等は?」
「我等はといいますと」
「何かありますか」
「神が耕された田は神のものだ」
こう言うのだった。
「だからな」
「我等が耕してはならない」
「そうですね」
「人が」
「だからその田はそのままにしよう」
村人達に言った、すると夫婦神は別の田を耕して暮らす様になり七町の田は放っておかれ荒れてしまった、これがこの地の荒田という名前の元になったという。兵庫県に伝わる古い話である。
子供の父 完
2024・5・12
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