第一章
[2]次話
子供の父
播磨今の兵庫県の話である。
この国に荒田という村がありそこに道主日女命という女神が暮らしていた、この女神がある日のことだった。
急に腹が大きくなった、それでだった。
村の者達は首を傾げさせた、それで口々に言った。
「一体どういうことだ」
「日女命の腹が大きくなるとは」
「何もなくこうはならぬ」
「必ず訳がある」
「子が出来た」
「そして子は父と母があって出来るものだ」
誰もがこのことから考えた。
「だとすれば父親もいる」
「日女命と付き合いのある男だ」
「それは誰だ」
「一体誰なのか」
「それはすぐにわかる」
こうだ、村の長が言った。
「子が生まれるとな」
「そうなるとですか」
「その時にですか」
「わかりますか」
「そうなのですか」
「そうだ、だからまずはだ」
長は村人達に話した。
「子が生まれるのを待とう」
「それでは」
「そうしましょう」
「日女命が子を生まれるまで」
「そうしましょう」
「それではな」
長はこう言って時を待った、そしてだった。
日女命は子を生んだ、ここで長は言った。
「では盟酒を行おう」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「確かめるのですね」
「子の父親を」
「そうしよう、それではだ」
長は日女命にだった。
七町の田を耕してもらった、するとだった。
七日と七晩後にその七町の田に稲穂が実った、それでだった。
長は次にだ、村人達にこう言った。
「ではこの田の稲穂から酒を造ろう」
「今度はそうしますか」
「酒を造りますか」
「そうしますか」
「そうするのだ」
こう言って実際にだった。
今度は酒を造った、すると。
「酒の匂いがするな」
「新しい酒が出来たか」
「道主日女命の田から出来た稲穂の酒か」
「神の田で出来たのだから神の酒だな」
「我等の酒だな」
「では飲ませてもらおう」
神々が来て口々に言った、長はその神々に恭しく話した。
「そうされて下さい」
「うむ、長がそう言うならな」
「飲ませてもらおう」
「宴を開いてだ」
「そうさせてもらおう」
神々も応えてだった。
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