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現実世界は理不尽に満ちている!
第78話「彼は、まさか…」
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く、ガミラスには優秀な指揮官がいる。「宇宙の番犬」という異名を持つ、ドメル将軍の後継を筆頭とした優秀な指揮官がだ。

 ガミラスには、地球よりも基盤がある。
 デスラー体制が崩壊したとはいえ、その基盤は崩れることはない。もしもガミラスに「時間断層」が付与されたなら、ガミラス版の波動砲艦隊を作り上げることだって不可能ではない。

 地球が裏では警戒しているように、ブリリアンスもまたガミラスを警戒しているのだ。

 一瞥していたダークネス卿がテレサを見つめようとした、その時だった。テレサが彼女の背後を見つめると、言葉を紡ぐ。

 「彼もまた、”縁”で結ばれている一人」

 彼も、とは…。
 ダークネス卿は振り返る。先ほど薄っすらと聞こえた「彼女もその一人…」は、自分の事だろう。此処に集っているのは、”縁”によって結ばれた者達だ。地球、ガミラス関係なく。それと、ブリリアンス。

 ”縁”に呼ばれた者が、まだいるというのか。
 それはいったい、何者なのか。
 
 ダークネス卿だけではない。
 その場に集う誰もが、扉口にその視線を投げていた。

 足音が聞こえる。
 それはゆっくりながらも、近づいて来ている。靴音が、次第に大きくなってきている。

 通路の奥の闇が形となる、人間。
 やがて、その姿の全貌が現れた。

 瞬間、その場にいる誰もが驚愕の色を浮かべた。ただ一人、高次元生命体であるテレサだけは、見た通りです、と静かに口ずさむ。

 現れたのは、一人の男だ。赤い裏地の黒いマントを微風に靡かせ、整った金髪を有する青肌の貴人。ダークネス卿を筆頭としている者達が驚愕しているのは、男がただのガミラス人ではないからだ。
 いや、それは当然だ。しかし、それだけで驚愕している訳ではなかった。彼はあの時、死んだ筈だ。それが何故、五体満足な状態で生きている…。

 目を見開いている一同に、その男は不敵な笑みを浮かべる。

 「―――久しぶりだね、〈ヤマトの諸君〉」

 その男の正体は、アベルト・デスラー総統その人だった。
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