第97話 深夜の誘惑
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side:リィン
ロレントの異変も解決して俺達はホテルで仮眠を取っていた。
これまで4つの地方で異変が起こった、そして最後に残ったボース地方で何か起こる可能性があるとして俺達はそこに向かう事になったんだ。
だからしっかりと休息を取って明日に備えないといけないんだけど……
「……」
だが今日は眠りが浅かったのか深夜に目を覚ましてしまった。どこでも眠れる特訓はしているんだけど今日は色々あって頭の中がいっぱいなのか眠れないんだ。
俺は男性組が借りてる部屋から出ると深夜のロレントを歩いていく、とくに目的は無いけどブラブラと町を歩き続けるとマルガ山道の方からリュートの音が聞こえてきたんだ。
「このリュートの音って……」
俺はマルガ山道の方に足を運んだ、すると山道途中にある大きな石をイスかわりにしてリュートを引くオリビエさんがそこにいた。
「オリビエさん?」
「おや、リィン君も夜中の散歩かい?」
俺が声をかけるとオリビエさんは演奏を止めてこちらに顔を向ける、その表情はいつものように胡散臭い笑みを浮かべていたけど心なしか暗いものにも見えた。
「こんな夜中に何をやってるんですか?騒音にならないように山道まで来たのかもしれませんが魔獣に襲われてしまいますよ」
「ははっ、魔獣除けの導力灯を持ってきてるから大丈夫だよ」
「ならいいですけど……」
俺はなんとなく放っておけなかったのでオリビエさんと話をすることにした。
「……なにを悩んでいるんですか?」
「えっ、なんのことだい?」
「とぼけても無駄ですよ、普段のうっとうしい態度がまるで出てこないじゃないですか。らしくないって言ってるんですよ」
「え〜、そんな些細な違いに気が付くなんてリィン君ってば僕のこと好きすぎない?いやぁ、リィン君も素直じゃないね〜。どうだい、この後僕と甘い夜のひと時を……」
「どうやら気のせいでしたね、戻ります」
「ちょちょちょ……冗談だってば〜」
一通りふざけたオリビエさんはリュートを小さく鳴らしながら話し始めた。
「リィン君はさっきのエステル君から聞かされた話を聞いてどう思った?」
「ハーメルの事ですか?そうですね、率直に言って酷いなって思いました」
俺は自分の思った気持ちを話し始める。
「俺は猟兵なので多くの戦場を見てきました、そしてその中で共通してると思ったのがいつも苦しむのはなんの罪もない一般人たちばかりだと……今回だって一部の人間の暴走で戦争にまでなってしまった、犠牲になったハーメルの人たちは本当に可哀想です」
「……そうか、君は戦場を見てきたんだね」
オリビエさんはリュートを鳴ら
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