第97話 深夜の誘惑
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先程クローゼを抱きしめた際の感触を思い出して俺は気持ち悪い笑みを浮かべてしまった。あんな美人にくっつけたらまあ多少はね。
「へぇ、クローゼとのハグはそんなに良かったんだ」
「ああ、そうだな……ん?」
背後から声が聞こえたので思わず返事をしてしまったが俺は誰と話しているんだ?
振り返ってみるとそこにいたのは……
「やっほー、リィン」
「フィー!?」
そこにいたのはフィーだった。
「な、なんでここに!?」
「ん、クローゼが外に出ていくのに気が付いたから後を付けていたの。そしたらリィンもクローゼの後を付けていたから監視していた」
「い、いや別に付けていた訳じゃないぞ。偶然見かけたから気になっただけで……もしかして見ていたのか?」
「ハグの事?バッチリ見てたよ」
俺はフィーにやましいことをしていた訳じゃないと言おうとしたが、フィーのハグはよかった?という言葉に見られていたんじゃないかと冷や汗を流す。そんな俺にフィーはジト目でそう呟く。
「い、いやあれは違うんだよ!勇気付けようと思ってしただけで浮気しようと思った訳じゃなくて……」
「それなら堂々としていればいい、そんな態度じゃかえって怪しい」
「うっ……」
フィーの言葉に俺は何も言い返せなくなってしまう。
「まあ今回は気にしてないよ。クローゼが元気なかったのは知ってたしリィンも気にしてたからハグしたんでしょ?」
「あ、ああそうだよ」
「なら怒ったりしないよ。だから慌てないの」
「はい……」
フィーに怒られてしまい俺は声を小さくする。
「お説教はここまで、次はエステルの方に行こっか」
「えっ、なんでエステルの話が出たんだ?」
「クローゼが出ていった少し後にエステルも起きて部屋を出ていったの。確か自分の家の方に向かっていった」
「そうだったのか、まああんな話を聞けばな……」
俺はフィーからエステルも起きたと聞いてヨシュアの過去を知ったから頭が混乱して眠れないんだと思ったんだ。
「確かに気になるし様子だけ見て行こうか」
「ん、了解」
フィーはそう言うと俺の腕に自身の腕を絡めてくっ付いてきた。
「深夜デートだね」
「あはは、エスコートしますよ。俺のお姫様」
「ふふっ、お願いするね。わたしの王子様」
俺はフィーと一緒にエステルの家に向かった、その道中でハーモニカの音色が聞こえた。
「これって……」
「ヨシュアのハーモニカだ。確か今はエステルが持っているはずだけど……」
エステルの家に近づくと彼女はベランダで何かの曲を奏でていた。
「この曲って確かヨシュアが時々奏でていた曲だった
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