第46話
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…………ベガスフィルムが黒だとすればあの社長が何も知らねえはずはねぇ。違法ドラッグの流通にしても何らからの形で関わっていたはずだ。脅迫状はわからんが――――――それこそ姉貴の失踪に関わってんじゃねぇか?」
「…………あの社長が…………」
ヴァンの問いかけに答えたニナの話を聞いたアニエスは相槌を打ち、アーロンはある推測をし、アーロンの推測を聞いたフェリは複雑そうな表情を浮かべてギャスパー社長を思い浮かべた。
「……………………」
「ニナさん…………?」
目を伏せて黙り込んでいるニナが気になったアニエスはニナに声をかけた。
「いえ、その…………微妙にしっくりこなくて。あのギャスパー社長がそこまで大それたことをするかと思いまして。いつもゴッチ監督に押し切られてパレードなんかも認めるくらいですし。」
「そうでなくても違法薬物絡み――――――露見した時のリスクは計り知れないかと。マフィアと結託してそこまでの事をする胆力はお持ちでないと言う事ですか。」
ニナの話を聞き、ニナが抱いているギャスパー社長のイメージをリゼットが自身の分析と推測で答えた。
「はい…………失礼は承知ながら。」
「…………ですが状況的に一番有力なのは確か、ですよね。そんな人がそこまでの事を”やらざるを得ない”状況があるとすれば…………」
「ハッ…………そういうことか。」
「考えてみれば反社会勢力としてごく当然のやり方かもしれません。」
「どこからどこまでかはともかく…………少なくとも違法薬物の流通については”脅されて”ということですか。」
アニエスの言いたい事を察したアーロンは鼻を鳴らし、リゼットは納得した様子で呟き、ニナはアニエスが言いたいことの明確な内容を口にした。
「あ…………」
「ああ――――――そういう事だな。あの社長がアルマータの力を借りて業界で急成長したのは確かなんだろう。政財界への裏金、出所の不明な資金調達、メッセルダム映画祭を潰して我田引水。――――――だが裏を返せばそれだけの”弱み”を相手に晒すってことでもある。それもアルマータのような最悪の相手にな。」
「それは…………」
「ハッ…………ヤベエ所の話じゃねえな。そうするとドラッグの流通だけじゃねえ、もっとヤバイことをさせられてそうだ。しかもタイミング的に、この”映画祭に関わるような仕掛けを。”」
「…………!そ、そうするとあの”脅迫状”というのは…………」
アーロンが口にした推測を聞いて目を見開いたニナは信じられない表情で呟いた。
「はい――――――この地で映画祭を乗じてアルマータが起こそうとしている”何か”。自分も加担してしまっているそれを、取り返しのつかなくなる前に何とかしたい……
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