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金木犀の許嫁
第三十二話 大阪の野球その二

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「まさに」
「本当に酷かったですね」
「その巨人の九連覇となって」
「とんでもないことになりましたね」
「その直前のことでした」
「南海と阪神のシリーズは」
「確かに阪神は敗れましたが」
 このことは事実だがというのだ。
「互いに正面からぶつかり合った」
「いいシリーズでしたね」
「阪神はかつてはよくネタになりましたね」
「色々ありましたね」
 今度は佐京が応えた、食べているのはアイスクリームだ。
「阪神は」
「数多くの勝利とです」
「数多くの敗北もありましたね」
「はい」
 まさにとだ、佐京にも答えた。
「阪神には」
「暗黒時代もあって」
「その暗黒時代が長かったですね」
「星野さん就任まで」
 佐京は彼が監督になるまでと応えた。
「そうでしたね」
「二連勝で、です」  
 それだけ勝てばというのだ。
「快進撃だと言われる様な」
「そんな風でしたね」
「そこまで弱かったです、投手陣は安定していても」 
 阪神の伝統で先発、中継ぎ、抑えは常に揃う。ただしかつては肝心なところで打たれるのが常であった。
「打線が、でした」
「打たなくて」
「あまりにも長い暗黒時代でした」
「そうした頃もありましたね」
「はい」
 まさにというのだ。
「かつては」
「そうでしたね」
 真昼はまた言った。
「阪神は」
「野球は総合力です」
 幸雄は言い切った。
「確かに投手陣は重要ですが」
「それだけでは勝てないですね」
「一点に抑えてもです」
 そうしてもというのだ。
「こちらが零点ではです」
「負けますね」
「暗黒時代の阪神がまさにそうでした」
「打線が弱くて」
「その為にです」
「負けていましたね」
「もっと言えば守備もです」
 こちらもというのだ。
「肝心な時にエラーをしたので」
「負けましたね」
「それで弱かったですが」 
 暗黒時代の阪神はというのだ。
「今はです」
「十連覇する位ですね」
「強いです、ですがそうなるまでに」
「弱い時代もありましたね」
「日本のプロ野球も暗黒時代を迎えました」 
 阪神のそれではなくというのだ。
「巨人の九連覇という」
「最悪の暗黒時代ですね」
「その直前にです」
「阪神と南海がシリーズを争ったんですね」
「それが御堂筋決戦であり」
 そう呼ばれる勝負でありというのだ。
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