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博士の挑戦状
第百七十四話

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                第百七十四話  神出鬼没
 小田切君は博士にブリーフ13について尋ねた。
「本名とか経歴はわかっていないですね」
「全くな」
 博士はその通りだと答えた。
「わかっておらん、日本人という噂があるが」
「そうなんですね」
「それを言うと日本の誰もが嫌な顔をする」 
 そうだというのだ。
「これがな」
「そんな変態日本人だと嫌ですからね」
「小田切君は日本人だからわかるな」
「はい、よく」
「わしもアジア系の人間の姿でな」
 博士も話した。
「国籍は今日本じゃしな」
「やっぱりよく思われないですか」
「どうもな」
「そうですよね」
「しかしその本名も経歴もな」
「出身地もですね」
「全くな」
 それこそというのだ。
「わかっておらぬ」
「一切が謎ですね」
「左様、それでじゃ」
 だからだというのだ。
「わしもよく知らぬ、調べようと思えば調べられるが」
「それでわかりますか」
「誰も調べようとせん」
「ああ、それはわかります」
 小田切君はそれはと答えた。
「変態過ぎるんで」
「だからじゃ、わしも調べるのも馬鹿馬鹿しいと思ってな」
 そうであってというのだ。
「調べておらんしな」
「変態のことはどうでもいいですね」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「というか出来れば何らかの事故でな」
「どうにかなって欲しいですね」
「うむ、それで小田切君もじゃな」
「特に知りたいと思いません」
 そのスナイパーのことはというのだ。
「僕も」
「そうじゃな、それではじゃ」
「調べないですね」
「わしもな」
 こう言ってだった。
 博士は実際にそのスナイパーのことを調べなかった、ただとんでもない変態と思っただけであった。


第百七十四話   完


                     2024・6・7
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