第二十九話 手は組まないがその九
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「まさにな」
「そうでしたね」
「しかしだ」
それがというのだ。
「今はな」
「違いますか」
「逃げない」
絶対に、そうした言葉だった。
「何があってもな」
「そうされますか」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「家族として私が生きている限りな」
「一緒におられますね」
「そうする」
「いいことだね」
五色田はドクターマンの話をここまで聞いて応えた。
「本当にね」
「そう言ってくれるか」
「皆を人間だと理解して」
ギアの者達をというのだ。
「そして大切にするなら」
「いいことだな」
「これ以上はないまでにね」
こう言っていいまでにというのだ。
「そうだと思うよ」
「そう言ってくれるな」
「大事にしてね、皆を」
ドクターマンに優しい言葉を告げた。
「本当に」
「そうしていく、何があろうともな」
「是非ね、何があっても」
「君が言うと尚更頷けるな」
「俺がなんだ」
「家族を陀大切にする君が言うことだからな」
だからだというのだ。
「私も頷ける」
「そうなんだね」
「私はそうしていく、あとだ」
「あと？」
「知っていると思うが私には息子もいる」
「人間のだね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「今息子は家庭を持っているが」
「それでもなんだ」
「何か大変なことがあればな」
息子とその家族にというのだ。
「陰ながらでもな」
「助けるんだね」
「家族、親だからな」
それ故にというのだ。
「息子からも逃げていたが」
「それでもだね」
「今はな」
「助けるんだね」
「顔を合わせにくくともな」
それでもというのだ。
「そうしたい」
「そうなんだね」
「人間からも家族からも逃げない」
ドクターマンは決意を込めて言った。
「何があってもな」
「そうするね」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「最後まで一緒にいる」
「ギアの皆と」
「何があってもな、それでだが」
ドクターマンはさらに言った。
「君は今はご両親ともだな」
「仲良く暮らしているよ」
笑顔でだ、五色田はドクターマンに答えた。その顔は明るく屈託がなく真実を語っていることがわかるものだった。
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