第48話 桃色の人
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めだとわかります。でも、やりすぎです。降伏してきた賊の人達を拷問を加えて殺しているそうじゃないですか。そんな酷すぎます。賊の人達だって好きで略奪をやっているわけじゃないです」
劉備は案の定、私の賊退治のやり方に対する不満をぶつけてきました。
「いいたいことはそれだけですか?」
私は劉備を見据え淡々と言いました。
「それだけって、何なんですか!」
劉備は私の言葉に憤っていました。
「それだけでしょう。あなたはその言葉を賊の被害を受けた者の前で言えるのか?賊に辱めを受けた女性に同じことを言えるのか?賊に身内を殺された者に同じことを言えるのか?賊に食料を略奪されて飢えに苦しむ者に同じことを言えるのか?」
私は劉備に淡々と問いかけました。
「そ、それは・・・・・・」
劉備は急に勢いを失いました。
私は劉備のお目出度い考えに不快を覚えました。
彼女の言葉は賊の被害を間近で見たことのない者の言葉です。
その光景を間近で見た者であるなら絶対に言えない言葉です。
「賊は全て始末しておかないと必ずまた同じことを繰り返す。劉備殿、あなたの言うように改心する者もいるかもしれない。だが、改心しない可能性がある以上、彼らの被害になる者をなくすために賊は排除することが最良だ」
劉備は私の言葉に口を噤んで俯いて黙っています。
「そ、それでも・・・・・・。それでもひど過ぎます。賊の人達だって人間なんです」
彼女は言いにくそうに私の言葉に否定しました。
「私は善良な人間の生命と財産を脅かす者達にかける慈悲持ち合わせていない。劉備殿、確かに私のやり方は目先の問題を解決しているだけかもしれない。根本的な解決を計るには国を豊かにして、賊稼業などせずとも暮らしていける世をつくる必要がある。しかし、目先の問題をおざなりにしては、国を豊かにすることもできない。国を豊かにするのは民だ。民が生きる希望を失ったら国は滅ぶ。私は必ず世に出て、民が生き易い国を作りたい。それを成就するまで私は賊の被害で生きる希望を失う民を少しでも救いたい。そのためならば、私はいくらでもこの手を民を害す賊の血で汚すつもりだ」
私は自分が常日頃から思っていることを劉備に話しました。
劉備は私のこの言葉に黙りました。
「正宗君はやっぱり凄いな・・・・・・。いつもそんなことを考えていたのか。桃香、正宗君に謝るんだ」
白蓮は桃香に近づくと彼女を諭しはじめました。
我ながら熱い話を偉そうに話してしまいました。
「私も少し熱くなってしまった。劉備殿、すみませんでした。幼少の頃から賊退治をしていた私は賊の被害者を大勢目の当たりにしていました。だから、劉備殿の言葉は許せなかった」
私は劉備に感情的になったこ
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