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ハッピークローバー
第百四十話 ささやかなご馳走その八

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「兎に角強かったから」
「バーゲン行ってたのね」
「そうだったらしいよ」
「それはいいわね」
 留奈はその話を聞いてしみじみと思った。
「日本一になったらバーゲンって」
「そうだよね」
「大阪もね」
 自分達が暮らしている街もというのだ。
「今は毎年阪神日本一になるから」
「バーゲンとかあるよね」
「街全体でね」
「優勝したら何かあるのは」
「いいことよね、巨人なんて優勝しても」
 日本一、決してあってはならないそれが起こってしまってもというのだ。巨人が日本一になると言うことはそれだけで大きな災厄である。
「何かいいことあるか」
「ないからね」
 伊東はきっぱりと言い切った。
「何か安くなるかっていうと」
「ないからね」
「何もね」 
 それこそというのだ。
「いいことなんてね」
「本当にないのよね」
「巨人が日本一になっても」
「それでね」
 それ故にというのだ。
「あそこはね」
「日本一にならなくていいわよ」
「というかね」
 伊東はさらに言った。
「今のまま万年最下位でだよ」
「いいわね」
「実際それでいいことばかりだし」
「巨人が負けるの見たら」
 邪悪に満ちたこのチームがというのだ。
「自然と元気出るし」
「それだけでね」
「頑張れるから」
「阪神は勝って」
 そうしてというのだ。
「巨人が負ける」
「最高よね」 
 留奈もまさにと頷いた。
「そうなったら」
「そうだね、それでその巨人は東京が本拠地だけれど」
「東京ドームね」
「このことも嫌だね」
「巨人の嫌なところで」
「東京の嫌なところだよ」
「そうよね」
 留奈もまさにと頷いた。
「巨人についてもね」
「東京についても」
「あれなのよね」
 留奈は実に嫌そうに話した。
「あのドーム東京のど真ん中にあるのよね」
「山の手線のね」
「真ん中にも線路走ってるけれど」
 環状線のその中にだ。
「そのまさにね」
「真ん中にあるんだよね、あのドーム」
「それも嫌よね」
「日本の首都の中心にあって」
「そこから悪の瘴気放ってる様な」
「嫌よね、それ」
「本当にね」  
 留奈は心から思って言った。
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