第百四十話 ささやかなご馳走その六
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「あそこのお醤油は」
「それでおうどんやお蕎麦のおつゆも」
「辛いんだよね」
「真っ黒でね」
「それでお蕎麦噛まないんだよね」
「喉ごし味わうのよね」
「そこも違うんだよね」
留奈に唐揚げを食べながら応えた、その唐揚げにはレモン汁がかけられていてそのうえで醤油をかけている。
「東京って」
「噛まないのよね」
「通はそうだっていうね」
「お風呂だってね」
これもというのだ。
「熱いのにすぐに入って」
「それで出るのよね」
「江戸っ子はそうだっていうね」
「お風呂は寒いとね」
伊東はそれならと話した。
「長く入りたいよね」
「あったまりたいからね」
「夏はシャワーだよ」
「私夏もお風呂入るわ」
「そうなんだ」
「その方が疲れ取れるっていうし」
留奈はさらに話した。
「身体の汚れもね」
「落ちるから」
「体臭もね」
それもというのだ。
「よく落ちるから」
「夏もお風呂入るんだ」
「湯舟にね」
そちらにというのだ。
「そうするのよ」
「そうなんだ」
「私はね、けれどあっちは」
東京ではというのだ。
「それもないわね」
「江戸っ子の入り方はそうだっていうね」
「それもないわね」
「だから合わないんだよね」
「京都以上に」
「東京は色々あって楽しいかも知れないけれど」
「合わないわね」
「どうもね」
こう言うのだった。
「本当に」
「私もよ。行ったけれどいいとはね」
「思わなかったね」
「そうだったわ」
伊東に正直に答えた。
「九州とか広島にも行ったけれど」
「そっちはどうだったかな」
「別にね」
これといってというのだ。
「そうは思わなかったわ」
「合わないって」
「そうだったけれどね」
それでもというのだ。
「東京はね」
「合わないって思ったんだね」
「ええ、住みたいかって言われても」
「覆わないよね」
「あそこはね」
「大阪にいたら」
東京はというのだ。
「合わないわね」
「そうだよね」
「自然とね」
それこそというのだ。
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