第二章
[8]前話
「知ってだ」
「弱みを握りな」
「辞めさせられない様にしてだ」
「今もFBIの長官だな」
「そうなっている、だからこそだ」
それ故にというのだ。
「私もだ」
「警戒しているな」
「そうだ」
まさにというのだ。
「自分が行っているからな」
「相手もしてくるとだな」
「考えてだ」
「部屋の盗聴器には気を付けているな」
「出張や休暇の時もな」
「私と一緒にいても」
「ホテルの個室でもだ」
そこでもというのだ。
「警戒している」
「盗聴器が仕掛けられていないか核にしているな」
「プライベートの行動でも私は調べて把握してだ」
「行く先のホテルに仕掛けているな」
「そうしている、それをだ」
「誰かがしてくるな」
「私の敵は多い」
フーヴァーは自分からこのことを言った。
「実にな」
「私もだな」
「私とずっと付き合っているからだな」
「公私共にな、それでだ」
「私の敵は君の敵だな」
「君の敵は私の敵でな」
トルソンはステーキを食べつつフーヴァーに笑って話した。
「同じだ、そして私も警戒しているかと聞かれるとな」
「警戒しているな」
「そのことも君と同じだ」
「そうだな、くれぐれもだ」
「自分達が行っているからだな」
「行っていることでやられてはいけない」
「弱味を握られることはな」
フーヴァーははっきりと言った。
「駄目だ、盗聴を行っているからこそだ」
「盗聴には気を付けなければな」
「お互いな、しかもだ」
フーヴァーはさらに言った。
「私と君の関係はアメリカの倫理では批判が多い」
「若し公になるとな」
「流石に罪には問われないが」
「キリスト教の倫理では嫌われる」
「実にな、だからだ」
そうであるからだというのだ。
「お互いにだ」
「気を付けていこう」
「FBIの長官、副長官として」
「そして親しい者同士でな」
「そうしていこう」
二人で小声で話した、盗聴器がないことは確認しているが警戒していた。
ジョン=エドガー=フーヴァーが盗聴を駆使して半世紀近くに渡りFBI長官の座にあり歴代の合衆国大統領をはじめ多くの要人の弱味を握り権力を保っていたことは知られている、そして彼が誰よりも盗聴を恐れていたことを。
彼は常に自分のいる場所に盗聴器が仕掛けられていないか事前に念入りに調べていた、そしてパートナー以外は愛犬達だけが彼と親しかったという。盗聴を用い権力を握ろうとも彼は盗聴を恐れ孤独であった。そのことも知られていることである。
盗聴器を使うからこそ 完
2024・8・25
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