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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第216話:指輪を担保に
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かは大体予想がつく。しかし、それをこの男に説明したところで納得する事は無いだろう事は明白であった。

 沈黙で返す弦十郎に、査察官は勝ち誇った様子で話を締めくくろうとした。

「後ろ暗さを抱えてなければ、素直に査察を受け入れてもらいましょうか。特に、この男に関しては念入りに」

 颯人がミラアルクを何処かに匿っている事を口実にS.O.N.G.に対する査察を受け入れさせようとする査察官。弦十郎は鉛を飲み込んだような顔をしつつ、せめてもの抵抗で切れるカードを切ろうとした。

「……颯人君はそこの明星 輝彦と同様飽く迄外部からの協力者に過ぎない。我々に干渉したところで、得られるものなどたかが知れているぞ」

 弦十郎の言葉に、颯人と同じく四方から銃口を向けられながら壁に寄りかかり腕組みをしている輝彦が軽く顔を上げた。事の推移を見守るつもりだろうその視線が、弦十郎には彼が自分達を責めているように見えて申し訳なくなってしまった。

「なるほどなるほど……では、我々としてはこの男を逮捕する以外に無くなってしまうが、それでいいかな?」
「なっ!?」

 まさかここまで強硬手段に出るとは思っていなかったので、弦十郎も今度こそ言葉を失った。何を考えているか分からないこの査察官が率いる査察を素直に受け入れるのはリスクが大きい。だがそれを突っ撥ねれば颯人が逮捕されてしまう。彼1人を犠牲にしてS.O.N.G.への不干渉を貫かせるか、彼を守る為にS.O.N.G.への干渉を受け入れるか。
 前者の場合S.O.N.G.はこれまで通りに動けるだろうし、颯人も奏の事があるから大人しく逮捕を受け入れる可能性が高い。だがその場合颯人がどんな目に遭うか想像もできない。何しろこの査察官の背後に居るのは十中八九、護国の鬼を自称する訃堂だ。あの非情な老人であれば、護国の為と称して颯人の事を拷問や実験台にする事も厭わない。

 逆に後者を選べば、颯人にも一定の自由が約束されるだろうがその代わりS.O.N.G.が多大な干渉を受ける。発令所も政府からの干渉を受け、有事の際も政府の意向が多分に盛り込まれる。

 どちらを選んでも弦十郎としては苦しい決断となる中、査察官の物言いに遂に奏が噛み付いた。

「おいいい加減にしろッ! さっきから聞いてれば好き勝手に言いやがって、テメェ何様のつもりだッ!」
「奏、待って!?」
「待ちなさい奏、駄目よ! 落ち着いてッ!」
「落ち着いてなんて居られるかッ! 颯人は、颯人が……!」

 奏としては颯人がとんでもない目に遭うかもしれない瀬戸際なのだ。黙っていろなど土台無理な話。彼を守る為であれば、奏はこの場で査察官が率いる部隊と一悶着起こす事も辞さない覚悟であった。

 翼とマリアに必死に押さえられている奏を蔑む様に見なが
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