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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第216話:指輪を担保に
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らでも確認された偶発的なもの。故にこちらでも詳細に関しては未だ纏め切れているものではなく、開示するには時期尚早と判断し試験を繰り返した後日本政府に情報を開示する予定でした」
「つまりこちらに情報が渡る前に実戦で使用せざるを得なくなってしまった。だからあれは隠蔽でも何でもないと、そう言う事かね?」
「そうです。ですので我々は、これ以上政府からの査察や干渉を受ける謂れはありません」

 飽く迄冷静に、毅然とした態度で査察官と対峙する了子。その様子を響達がハラハラした顔で見守り、弦十郎も固唾を飲んでいる中、査察官は小さく肩を竦めてみせた。

「なるほど……確かにそれなら筋は通る。S.O.N.G.の技術主任である櫻井 了子氏直々にそうまで言われては、こちらとしてもそれをしつこく疑ってかかる訳にはいかないな」

 意外とあっさり引き下がるかのような対応を見せる査察官に、了子はホッと胸を撫で下ろしつつ違和感を覚えた。ここまで物々しい事をやっておきながら、物分かりが良すぎる。まだ何か裏があるのではないかと思ったのは、彼女1人ではなくS.O.N.G.に所属する者全員であった。

――何だコイツ等? 他に何を……――

 奏が訝し気な顔をしながら査察官を見やり、そしてその視線が颯人に向いた時、彼らの本当の目的に奏は気付いた。

「おい、まさか……!?」
「だがこの男に関しては、話しが別だな」
「颯人君がどうしたと言うんだ?」

 査察官の言葉に兵士達は改めて颯人に銃口を向け、弦十郎は険しい顔になってその理由を問う。対する話題の中心である颯人本人は、今にも鼻歌でも歌い出しそうなほどにリラックスした様子で佇んでいた。

「この男は先程、敵の組織の者を1人捕らえたそうだが……その者は今どこに居るのかね?」
「ッ!」

 この言葉には弦十郎も言葉を詰まらせた。何しろ颯人はあの場から連れ出したミラアルクを、発令所には連れてきていないのだ。モニターを見ているだけだった弦十郎達も、颯人がミラアルクをどこへ連れて行ったのかは知らない。故に答える事は出来ず、そしてその沈黙は査察官にS.O.N.G.を責める口実を与えた。

「彼の者は日本政府にとっても重要な参考人だ。それを匿っていると言うのであれば、護国災害派遣法に則り強硬手段も辞さない。言いたい事は分かるな?」

 つまりは大人しくミラアルクを引き渡せと言っているのだ。これには弦十郎も言い返す事が出来ない。確かにミラアルクは日本政府にとっても、決して無視する事は出来ない重要参考人。それを組織どころか個人で匿っているとなれば、痛くない腹を探られて変な勘繰りをされても仕方がない事である。

 勿論弦十郎は颯人のことを信じているし、アリスとミラアルク達の関係性の事もあって今彼女が何処にいるの
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