暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第216話:指輪を担保に
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ないんだったら、もうちょっと穏便に話を進めてもらいたいところなんだけどねぇ?」

 颯人の発言が癪に障ったのか、査察官は一変して鋭い視線を彼に向ける。しかしこの場に居もしない虎の威を借っている狐の視線など全く気にもならないのか、颯人は口笛を吹きそうな様子で明後日の方を見ていた。

「本当だよ。どう見ても同じじゃんか……」
「あの手合いを刺激しないのッ!」

 その様子を見ていた朔也は小声で颯人に同意し、あおいはこちらに査察官の矛先が向かない様にと不満を抑えきれずにいる同僚を窘めた。
 幸いな事に彼の言葉は査察官の耳には入らず、また査察官の矛先は絶賛颯人の方に向いている状態だったので咎められるような事にはならず話は進んだ。

「国連直轄の特殊部隊が野放図に威力行使できるのは、予めその詳細を開示し、日本政府に認可されている部分が大きいッ!……違うかな?」

 何やら含みを持たせつつ、確認するようなもったいぶった査察官の言い方に、弦十郎が納得いかないと言う気持ちを滲ませながら言い返した。

「違わいでかッ! 故に我々は、前年に正式な手続きの元――」

 人間としては規格外な肉体を持つ弦十郎だが、こんな見た目に反して思考は理性的だし通すべき筋は通す誠実な人間である。国連直轄特殊部隊とは言え、だからと言って好き放題するような事はせず正式な認可はちゃんととってから行動してきた。無論何事にも例外は存在するし、状況によっては人命その他を優先する為敢えて決まりを無視するような事は無いとは言わないが、その場合だって然るべき処分や手続きは踏んできた。

 そんな彼の言葉に対し、査察官は手を上げて遮るとねちっこい目を向けながら告げてきた。

「先程見させてもらった武装、開示資料にて見かけた覚えが無いのだが、さて?」

 この発言には弦十郎も苦虫を噛みつぶした顔にならざるを得ない。何しろアマルガムに関しては殆ど偶然の産物であり、先日存在が発覚して了子とサンジェルマンによりシンフォギアの武装の一つとして説明を受けたばかりなのだ。偶発的に手に入った機能であるが故に詳しいデータなども存在せず、これからテストなどを繰り返してデータを収集し然る後に資料を開示する予定だったのである。

 つまりはタイミングの問題であり、必ずしも査察官が暗に示している情報の隠蔽に当たる訳ではない。それを察してエルフナインが堪らず声を上げた。

「そんなッ! アマルガムを口実にッ!?」
「この口振り……最初から難癖付けるつもりだろッ!」

 あまりにも横暴な査察官の物言いに、この場でシンフォギア関連の技術に関する責任者である了子は意を決して前に出て口を開いた。

「その件に関しては、少々誤解があります」
「何かね?」
「先の機能、アマルガムは先日こち
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