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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第96話 ヨシュアの過去
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てくれたと知って嬉しくて泣いてしまった。よかった、あたしを嫌いになった訳じゃなかったのね……


「……ならヨシュア、あたしの元に戻ってきて!」
「それは出来ない」
「どうして!?結社が怖いならあたし達が戦うわ!父さんだっているのよ、だから……」
「君は分かっていないんだ、結社という組織の強大さを。たとえ父さんがいても結社には勝てないんだ」


 ヨシュアは先程までの優しい雰囲気を消して私の肩を掴んだ。


「エステル、単刀直入に言うよ。僕と一緒に結社に来てほしい」
「なっ!?」


 そしてヨシュアの口から出た言葉はあまりにも衝撃的な内容だった。


「アイツに君を迎え入れさせる約束をさせた、君が結社の一員になれば危害を加えないって」
「そ、そんなことできるわけがないじゃない!?」
「どうして?」
「結社は悪い奴らなのよ!そんな奴らの仲間になんてなれないわ!」
「確かに結社は人々に迷惑をかけた、でもリベール王国だって僕達に酷いことをしたんだよ」
「えっ……」


 あたしは結社の仲間にならないと言う、でもヨシュアは悲しそうな目でリベール王国を非難した。


「それってどういうことなの?リベール王国がヨシュアに酷いことをした?」
「君はルシオラの幻術の中である村を見たはずだ」
「えっと、確かハーメルって村よね?まさかそこって……」
「そう、僕の生まれ故郷だ。僕が彼女に頼んで幻術で再現してもらったんだ」


 あたしはハーメルという村がヨシュアの生まれ故郷だと知って驚いた。


「でもジンさんの話ではハーメルは大規模な土砂崩れで壊滅したって……」
「表向きはそういうシナリオにされているね。でも実際は違う、ハーメルは人間の薄汚い欲望と身勝手な考えによって滅ぼされたんだ……!」


 ヨシュアは憎悪の炎を目に宿して声を荒げた。


「一体何があったっていうの?」
「ハーメルはとても平和な村だった。幼い頃の僕は両親こそいなかったけど唯一の肉親であるカリン姉さんと幼馴染のレーヴェと毎日を楽しく生きていた」
「レーヴェってロランス少尉の本名じゃない……!?しかもヨシュアにお姉さんがいたの!?」
「うん、とても優しくて暖かい人だった。君とはまた違ったタイプの人を集める人だったよ」


 昔を語るヨシュアの顔はとても優しくて先程までの憎悪など微塵も感じなかったわ。


「でもそんな幸せは唐突に奪われた。ある日村に一人の旅人がやってきたんだ、その旅人は村を周ると一泊して帰っていった。そして次の日に謎の集団に襲撃を受けたんだ」
「襲撃!?」
「皆瞬く間に殺されていった。知り合いのおばさんも食堂を経営していたお兄さんも僕達を気にかけてくれていた村長も幼い子供達も皆……
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