第四章
41.白く輝く地・ロンダルキアへ
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らわしは力を使わぬ」
竜王のひ孫の話は、まるで講話のようでもあった。
「ただ、それは力が不要ということを意味するものではない。仮にわしが何の力も持たぬならば、竜王の島はとうの昔に滅ぼされ、今は存在していなかったかもしれぬ。力を持たぬ者も侮られ潰される。その意味では、まだこの世界は『力の世界』のままなのだろう。わしの曾祖父のころより世界全体が進歩しているであろうとはいえだ。
ロンダルキアで聞いたが、お前は教団の遺民を生き残らせるために新たな破壊神の召喚を目指しているそうだな? おそらく今のお前には必要なことだ。やればよい。お前の進もうとしている道は間違っていない。誰もが納得する圧倒的な力を手に入れよ。そして使うな。それが今のわしがお前にできる助言だ」
フォルは相槌を打ちながら話を聞き、助言に感謝した。
「“まだ”この世界は『力の世界』のまま……いずれそうではなくなるのですね」
「それは誰にもわからぬ。神や精霊ですら予想できないだろう。だが――」
竜王のひ孫がニヤリと笑った。
「お前は若い。新しい世界を構築してゆく一人になるやもしれぬ。それまでに潰されることがないよう頑張るがよい」
後ろでシェーラとダスクが顔を引き締め、ケイラスが仮面をキラリと光らせる。ミグアは一見無表情のまま。タクトは珍しく子供臭さのない大人の笑みを浮かべていた。
おそらくケイラスを除く全員が想像していた以上に、歩いた。
「あっ、湧き水ですね」
道の終点は、礼拝堂ほどではないが、広く開けたところだった。
天井の空間が斜めに走っているので視認はできないが、上のどこからか光が入ってきているようだった。さほど暗くはない。
洞自体はまだ奥にも続いているようだが、地面はそこで終わっており、先は溶岩ではなく水が満たされていた。どうやら流れもあるようである。
この場所は溶岩の影響を受けていないのか、ひんやりとした空気がフォルたちの頬を撫でる。
「ここが水汲み場だ」
「箱や壺もたくさん置いてありますね」
「保存食の貯蔵にもここを使っていたからな」
ちょうど全員が、積まれているそれらを見ていたときだった。
ガターー。
小さな音とともに、大きな箱の陰から、現れた。
「……!」
背が低い、薄汚れた魔術師のローブを着た人間。
礼拝堂の一件があったため、シェーラやダスクが一瞬緊張を走らせて武器を構えたが、すぐにそれを解いた。
仮面を着けていないその魔術師の顔は、明らかに生者のものであったためだ。
「ぁ……ぁ……」
間違いなくフォルよりも年少であろう、茶髪がボサボサに伸びた子供。
目は驚きで見開かれていた。開いた口は
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