激闘編
第九十五話 下準備 U
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にならなかったら、ヤン提督は養育費を返還しなくてはなりませんし」
そう言うと、三人が一斉に笑いだした。
「同盟軍の艦隊司令官をバカにするなよ?それぐらいの余裕はあるさ、心配いらないよ。でも…そんなに軍人になりたいのかい?」
「はい。ヤン提督や皆さんのお側で、もっとお役に立ちたいんです」
「充分役に立っているさ…いや、役に立つとか立たないの問題じゃなくて…」
ヤン提督は言葉に詰まってしまった。キャゼルヌ少将とウィンチェスター副司令長官は何も言わずに提督と僕を見ている。すると、ふうっと提督は息を吐いた。
「…解ったよ、ユリアン。いいですか、キャゼルヌ先輩」
「ユリアンがこの家に来る様に手を回したのは俺だが、別に俺の許可は要らんさ。お前さん達二人が決める事だ。よかったな、ユリアン」
「はい!ありがとうございます!」
改めて四人で乾杯した。見るとウィンチェスター副司令長官が何度も深く頷いている。どうしたのだろう…キャゼルヌ少将が訝しげに口を開いた。
「ウィンチェスター、お前さんやけに嬉しそうじゃないか」
「いえね、とても微笑ましいなと思いまして、なんと言うか、懐かしいというか…キャゼルヌさんもヤンさんもいい友人同士だなと」
「今はお前さんもその仲に入っているんだぞ」
「とてもありがたい事です。そうだ、改めてお祝いをしないといけませんね。エリカに言っておきます、ガストホーフ・キンスキーでお祝いしましょう」
ガストホーフ・キンスキー!とても有名なホテルだ、副司令長官の奥さん、エリカさんの実家でもある。
「ウィンチェスター、何もそこまでしなくても」
「何言ってるんですかヤンさん、ユリアン君の人生の新たな門出ですよ。こんなむさい三人だけでそれを祝うなんて勿体ないじゃないですか。アッテンボロー先輩が居ないのは残念ですが、オットーやマイクも呼んで、パーッとやりましょう」
「ありがとう、ウィンチェスター」
「水くさいですよ…おめでとう、ユリアン君」
何だかとんでもない事になってしまった。本当にいいんだろうか…ヤン提督を見ると、提督は笑って深く頷いた。
「ありがとうございます、ウィンチェスター副司令長官!」
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