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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十五話 下準備 U
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、驚かせてやろうと思ってウィンチェスターが来る事は言わなかった。ユリアンはウィンチェスターに憧れているからな…。
「敬礼する事はないだろう、ユリアン君」
「え、いや、つい…申し訳ありません」
「謝る事はないだろう、ユリアン君」
「あ…はい。申し訳ありません」
ウィンチェスターは笑いながらユリアンの肩を叩くと、勝手に居間に向かって行った……何やら話し声が聞こえる、何で居るんですか、だって?
「おいおい、何で居るんですかじゃないだろう、勝手に帰りやがって」
…キャゼルヌ先輩だった。だけど、何で居るんだ?
「先輩、何でウチに居るんですか?いや、居て困る事は無いんですが」
「お前さんの後輩から何の連絡もないもんでな。あ奴等はおそらく直帰だろう、もう帰っていいぞってビュコック長官に言われたんだよ」
「それは分かるんですが…」
「お前さんの帰宅がこんなに遅くなるなんて珍しいからな。ユリアンが心配してるだろうと思って様子を見に来たんだ」
「それも分かるんですが…何故ブランデーを飲んでいるんです?ツマミまで用意してるじゃないですか」
「うるさい、早く着替えろ…おいウィンチェスター、注げ!」


23:45
ヤン・ウェンリー邸
ユリアン・ミンツ

 三人が揃って飲むのは久しぶりらしい。ヤン提督もウィンチェスター副司令長官も、有無を言わさずキャゼルヌ少将に付き合わされている。お邪魔だなと思って寝ようとすると、ユリアンはアップルジュースで乾杯だ、と言われて参加する事になった。僕が言うのもなんだけど、三人を見ていると前線で大軍を率いる軍人というより…上級生に無理矢理付き合わされている下級生…という構図にしか見えない。でも一つ分かった事がある。僕はこの空気が好きだ、という事だ。軍人になりたい。そしてヤン提督やウィンチェスター副司令長官の為に働きたい。まだヤン提督には許可を貰えていないけど、必ず実現させる…。
「どうした、ユリアン」
「いえ、何でもありません」
ヤン提督が心配そうな眼差しで僕を見ている。そんなに思い詰めた顔をしていたんだろうか、僕は…。
「ヤンさん、ユリアン君は軍人になりたいんですよ。そうじゃないのかい?ユリアン君」
「は…はい!軍人になって皆さんのお力になりたいんです」
ウィンチェスター副司令長官はどうして分かったのだろう、でもいい機会かも知れない。お願いしてみよう…。
「ヤン提督、許可をいただけますか?お願いします!」
そう言うと、ヤン提督は困ったような顔をした。駄目なのだろうか…。
「ユリアン、何も軍人という職業だけがお前の将来って訳じゃない。焦る事はないよ」
「でも…」
「そうだユリアン。優秀な若者の将来を軍人なんかで擂り潰すなんてもったいないぞ」
「ありがとうございますキャゼルヌ少将。でも僕が軍人
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