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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十五話 下準備 U
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ざいます。ちょっと国防委員会に行ってきます。ビュコック長官の方からトリューニヒト委員長にアポを取って貰えませんか…そうだ、ヤンさんも来てください」
俺がそう言うとヤンさんは少し嫌そうな顔をしたけど、諦めたのだろう、肩をがっくり落とした。


19:45
ハイネセンポリス近郊、トリューニヒト別邸
ヤン・ウェンリー

 アポイントメントの結果、トリューニヒト氏はこの別邸にいる、という事だった。ウィンチェスターは何度か来た事がある様で、慣れた感じで用意されていたコーヒーポットからカップにコーヒーを注いでいる。ポットはもう一つあった。香りが混ざってしまっているが、紅茶らしい。
「ちゃんと紅茶も用意して貰いましたよ」
「…君は私が紅茶さえ飲んでいれば機嫌がいいと思ってないか?」
「…違うんですか?」
全く…それにしても、まさかトリューニヒトの所に来る羽目になるとはね…これまでも、奴の為人についてはウィンチェスターから聞いていたが、どうも好きにはなれない。トリューニヒトのシンパになって貰う必要はない、嫌いな奴のいう事を聞かなきゃいけないというのは非常にストレスを感じるだろう、委員長を間近で見れば少しは印象も変わりますよ、トリューニヒトだって本音と建前は違う…と、ウィンチェスターは言うのだが…。
「コーヒーの匂いが無ければ最高なんだけどね」

 私達のやりとりを黙って聞いていたトリューニヒトが笑い出した。
「君達は仲がいいんだね。流石はエル・ファシル以来の仲と言うべきか」
奴の、こういう芝居かかった言い回しが鼻につくんだ…。
「頼りになる人ですよ。ですがヤン提督は閣下の事が嫌いな様でして。いい機会だと思って連れてきました」
なんて事言い出すんだ、いくら嫌いだからって面と向かってそう言える訳ないだろう…。
「ほう…ヤン提督、本当かね」
「いえ、そういう訳では…」
「後方から戦争を賛美し兵士を死地に追いやるエセ愛国者…ウィンチェスター提督から君が私の事をそう評していると前に聞いた事があるよ」
「そんな事は…いえ、一言一句同じとは言いませんが、そう発言した事があるのは事実です」
「人は立場によって物の見方が変わる。君から見た私はまさしくそうなのだろう。以前にウィンチェスター提督にも話した事があるが、私の発言は建前に過ぎない。職責上仕方がないのだ。これは決して自己弁護ではないよ」
どう聞いても自己弁護にしか聞こえない、そう思っているのが顔に出ていたのだろう、私を見てウィンチェスターが苦笑していた。
「まあそれはいい。ウィンチェスター提督、ヤン提督を連れて来たのは正確な現状認識の為かね?」
意外にもトリューニヒトは抗弁しなかった。自分がどう思われているかなどどうでもいいのかもしれない。
「そうですね、捕虜交換の結果は再出兵に関
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