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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十五話 下準備 U
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宇宙暦796年3月20日13:00
フォルゲン宙域、自由惑星同盟、自由惑星同盟軍、第十三艦隊、第一空戦隊第三中隊、
イワン・コーネフ

 「全くだ、なんでこの俺がこんな事せにゃならんのだ」
「そうぼやくな、ポフランさんよ」
「長距離偵察なんて単座戦闘艇(スパルタニアン)乗りの仕事じゃないぜ。そうは思わんか、コーネフさんよ」
「一応こいつだって戦闘艇(スパルタニアン)だろう?」
「複座で、武装も下ろしてるのにか?強行偵察用なんて言ってるが、名前だけじゃねえか」
「専任のパイロットが風邪で寝込んでるんだ、仕方ないだろう」
長距離強行偵察用の戦闘艇は武装の代わりに高精度の光学カメラ、索敵センサーを搭載している。偵察任務も日をまたぐ長時間になる事もある為に、パイロットスーツも戦闘任務とは別の専用の物を使用する。複座なのはそれぞれ操縦任務と偵察任務に専念させる為だ。
「ふん、本当に風邪なのか?コールドウェルの奴。そもそもだ、擬装商船を色んな所に派遣してるんだから、俺達が偵察しなくたっていいんじゃないのか」
「おいおい、彼等が同盟軍に通報したら、擬装商船が同盟軍と関係があるってバレるじゃないか」
俺がそう言うと、ポフランは後ろを向く事なく言葉を続けた。
「とっくにバレてるんじゃないのか?あからさま過ぎるんだよな。よくやるよ、ウチの司令官殿も」
「アッテンボロー司令官が実施しているんじゃないぞ、元々始めたのはウィンチェスター副司令長官だ」
「よく知っているな」
「お前さんと違って真面目に話を聞いているんでな……おや…センサーに感あり。ポフラン、頭を三十度ほど右に振ってくれ」
「了解」


18:00
フォルゲン宙域、自由惑星同盟軍、第十三艦隊旗艦トリグラフ、
ダスティ・アッテンボロー

 「強行偵察の単座艇は収容したんだな?」
「はい。戦闘艇格納庫から収容完了と報告がありました」
参ったな。敵が出てこないと思ったから此処まで出張ったんだが…。
「参謀長、敵の規模は」
「およそ六千隻、報告にあった通りです。帝国艦隊との距離、約四十光秒」
「よし。全艦砲撃戦用意」


19:00
バーラト星系、ハイネセン、ハイネセンポリス郊外、自由惑星同盟軍、統合作戦本部ビル、宇宙艦隊副司令長官執務室、
ヤマト・ウィンチェスター

 「ご苦労様でした、キャゼルヌ少将。助かりました」
「お前さんならこれくらいの仕事、片手間で出来たろうに…失礼しました、副司令長官」
「いいですよ、普段通りで」
捕虜交換事務局。宇宙艦隊副司令長官執務室でもあるこの部屋は、今はそう呼ばれていた。何の飾り気もないネーミング、いや、飾り気なんかいらないんだけど、事務局の仕事は意外と大変だった。亡命希望者と帰国希望者それぞれの捕虜の選別、
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