第八十七部第一章 シャイターンの復活その六十九
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「それは避けられません」
「決して身体を壊さない人間なぞいません」
「この世に一人もいません」
「それもまた人間です」
「そう言ってしまうとそれまでだが」
それでもとだ、シャイターンは言うのだった。
「やはりな」
「その様に思われますか」
「どうしても」
「左様ですか」
「そうだ、無念にな」
その様にというのだ。
「思ってしまう」
「ですか」
「今は」
「この五日我々は多くのものを失った」
自分がいない間にとだ、シャイターンは述べた。
「それは紛れもない事実だからな」
「ですが兄上」
フラームはここで兄に述べた。
「この世はどういったものか」
「この世か」
「はい、イスラムの教えでは」
「全てはアッラーが司られている」
シャイターンは毅然として即答した。
「まさにな」
「左様ですね」
「まさに森羅万象をだ」
文字通りこの世の全てをというのだ。
「その流れもな」
「人の人生もですね」
「そういうことだな」
「はい、ですから」
「人はその運命の中で全力を尽くすべきであり」
「病に倒れることもです」
それもまたというのだ。
「全てはです」
「アッラーの思し召しか」
「ですから」
「私のこともか」
「はい、そうであるので」
「無念に思うことはないか」
「まさに全てはアッラーの思し召しですから」
それ故にというのである。この世の全てはアッラーが定め動かしそうしていっているからだからだというのだ。
「無念にはです」
「思うことはないか」
「そして逆境であれば」
「尚更だな」
「向かうものですね」
「コーランの誰が臆していたか」
この聖典に出ている者達はというのだ。
「一体」
「主な者ではいませんね」
「困難があればだ」
逆境でもというのだ。
「臆する、怯える、迷うことなくだ」
「向かっていっていますね」
「そしてそんなものは突破してだ」
そしてというのだ。
「そのうえで先に進んでいる」
「左様ですね」
「絶望はない」
コーランにはだ。
「そんなもの預言者ムハンマドもだ」
「感じていないですね」
「どんな困難もそうするのがだ」
「コーランであり」
「ムスリムだ」
「左様です、ですから」
フラームはさらに話した。
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