第七百六十五話 感謝されずともその五
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「害にしかならなかった」
「人でいる間は」
「そうだったのですね」
「あまりにも浅ましく醜い」
「そうした一生だったので」
「ですから」
そうした輩が餓鬼になっていてそのことをその目で見てよくわかっているからだというのであった。
「私としては」
「そう思われる時もありますか」
「布施餓鬼を行うべきでないと」
「揺れています」
その考えはというのだ。
「今は」
「行うべきか行わないであるべきか」
「どちらかとですね」
「迷われているのですね」
「はい」
まさにというのだ。
「悩んでいるとまではいきませんが」
「それでもですね」
「お考えなのですね」
「そうです」
こう答えたのだった。
「今現在も」
「私としてはです」
ここでラメダスは主に自分の考えを話した。
「すべきとです」
「お考えですね」
「徳を積むのならば」
「そうなるならですね」
「はい、お嬢様が」
「私もです」
ベッキーも言ってきた。
「それがお嬢様の徳になるのなら」
「布施餓鬼はすべきですね」
「そう考えます」
「そうですか。ですが」
セーラは二人の考えを聞いて言った。
「餓鬼を癒したりするという考えは」
「餓鬼を助ける、ですか」
「それは」
二人はセーラの今の問いには難しい顔で言葉を返した。
「どうも」
「思い浮かびません」
こう言うのだった。
「その浅ましさを考えますと」
「感謝も恩義も感じないのですから」
「ただ自分のことだけを考えている」
「そうした浅ましい存在に手を差し伸べることは」
「そう考えるのも自然ですね」
セーラは二人のそのカンガを否定せずに応えた。
「私にしてもです」
「その様にも考えられますね」
「お嬢様も」
「今お話した通りに」
その様にというのだ。
「考えます、ですが」
「それでもですか」
「そのことはですね」
「はい、考えましても」
それでもというのだ。
「今お話した通りに」
「考えておられますね」
「現在進行形で」
「そうです、果たして助けるべき存在か」
餓鬼というものはというのだ。
「それはです」
「難しいですね」
「それまでの人生を考えますと」
「今お話している人はまことに一つも誰かの為にいいことをしたことはなく」
「ただ己だけ」
「そして寄生して生きていましたね」
「それでいてプライドだけ高かったのですから」
そうした輩だったからだというのだ。
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