第77話「テレサとの邂逅・4号―――ダークネス卿との邂逅」
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味はありません」
白色彗星の姿が消えると、美しい青い星―――《テレザート》が浮かぶ。
「あなた方は、此処に来た。それはこの私も "縁" によって、あなた方と結ばれたということです」
いつの間にか《テレザート》は、テレサの瞳へと変わっていた。金髪が緩やかに靡き、金砂のような光の粒が古代達の周囲を舞う。
テレサは両の指先を絡め合わせ、祈る。
「ヤマトとは大いなる "和”。"和" とは "縁" によって結ばれた命と命が生み出す、フィールド」
今もそうだが、テレサは音を以って話していない。古代達の翻訳装置が作動している訳でもない。ただ、テレサの意思そのものを、声として認識しているだけに過ぎない。
「"縁" とは、異なる者同士を繋げる力。重力にも似た確かさで事象と事象を結び、次元の壁さえ越えて、作用します」
古代達は、思わず息を飲んだ。
故人の姿が見えるからである。最も親しかった、家族や親友を。
「"縁" の力とは、あらゆる物理法則を超えたもの。それほど巨大な暴力を以てしても、決して覆すことは出来ない」
いつしか故人の姿は区別することが出来なくなり、金色の輝きへと変わっていく。瞬間、テレサと一体化した。
「大いなる "和"。それは、〈ヤマト〉を中心とする "縁" が―――《滅びの方舟》を止めるでしょう」
そう締め括るとテレサは祈りを解き、手のひらで受け皿を形作った。すると、1隻の宇宙戦艦が顕現した。誰もが知る、宇宙戦艦ヤマトの姿であった。
顕現していた〈ヤマト〉は、強い光がテレサによって包まれた。
これが、縁なのか。
いったい、どのような力が生まれるのだろうか。
ただ一つ、わかったことがある。圧倒的な力なのだと、古代達は理解していた時だった。光は強さを増して、テレサをも呑み込む。
古代達の視界は一面、光に覆われ、古代の意識さえも飛ばされかねない強烈なものと化す。
瞬間、古代達は我に返った。光で覆われていた彼らの視界は元通りとなり、聖地《テレザリアム》の光景を映し出していた。
夢を見せられていたかのような、感覚だった。
「彼女も、その一人…」
テレサはその視線を、古代達の背後へと投じた。その言葉に、古代達は振り返る。今し方、潜ってきた扉へと。
足音が聞こえる。
それはゆっくりながらも、近づいて来ている。靴音が、次第に大きくなってきている。
通路の奥の闇が形となる、人間。
やがて、その姿の全貌が現れた。
長い黒髪。
黄金に輝く瞳を持ち、猫のような縦長。
鈍い光沢を放つ漆黒の鎧を身に付け、靡かせる真紅のマントには二丁の大釜を交差させていた。
美女である。
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