第77話「テレサとの邂逅・4号―――ダークネス卿との邂逅」
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宙空間には星々だけでなく、ガトランティスの母星―――白色彗星の姿もあった。
「全ての知的生命体を創造した、古代アケーリアス文明。彼らはこの宇宙に人間の種を蒔く一方で、安全装置を用意していました」
ふと、白色彗星と無数の星々の姿が消える。暗黒のみの空間が広がっていた。
「蒔かれた種が悪しき進化を遂げた時、それらを残らず刈り取るための装置」
闇の中には、赤い瞳があった。
しかしそれは、人のそれではなかった。
左に5個、右に5個。
5が縦列で対と為す。
合計で10。
輝くその瞳は、捕食者のそれであった。意思の疎通そのものを拒む。いや、そもそも意思があるのかすら怪しい。
逃げることを許そうともしない、怪物的存在。
だからこそ―――阻止せねばならない。
何故ならば、これこそが―――マルチバース存続の危機なのだから…。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
瞬間、彼らの視界は元通りとなる。
光景は闇ではなく、聖地《テレザリアム》へと戻っていた。
そう。
今の現象はテレサによって引き起こされた、幻視。
「全ての生命の目的は一つ。存続することです。でも、ガトランティスは違う。彼らは滅びを司る方舟を、目覚めさせてしまった。この宇宙に存在する全ての人間を滅ぼすまで、その進撃は止まらないでしょう。あなた方は白色彗星帝国と、対決せねばなりません。地球だけでなく、この宇宙に住まう全ての生命のために」
その時だった。
植物に覆われた《テレザリアム》に、半透明姿の人間が浮かび上がった。《テレザリアム》に来るまでに見た、遺骸と同じ姿だった。綺麗な状態で、だ。
誰の目でも、彼らが見えている。
その中でも特に斎藤は誰よりも驚愕し、キョロキョロと見渡していた。
「私に許されているのは、祈る事だけなのです」
かつて肉体を保持していた半透明姿の人間はテレサの元へ引き寄せられると、彼女の纏う光の中へ溶けるように消えていった。
「全ての知的生命を創造した、神のような文明が残した破壊装置」
古代は身を乗り出した。
「地球の全戦力を結集しても、対抗出来るかどうか分かりません。ヒントを、戦うためのヒントを頂けないでしょうか」
テレサは何も言わない。
その代わり、すっと手を差し出すポーズをした。
再び、視界が暗転する。
先ほどと同じ、自分達は宇宙空間に立っている。無論、呼吸が出来るため幻視であるのは察することが出来た。
「あの彗星を取り巻くガスは、システムの防御装置。それを中和するだけのエネルギーを以って彗星の中心核を狙い撃てば、取り除くことは出来ましょう。ですが、そうした話に大きな意
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