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俺様勇者と武闘家日記
第3部
サマンオサ
もう一人の勇者
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調するユウリに、ルークの眉がつり上がった。
「部外者なのはむしろ君たちの方だと思うけど。僕はサマンオサの人間として、君たちと協力したいと思ってここに来たんだ」
「今まで何もしてこなかった奴が、本当に自分でもどうにか出来ると思ってるのか? 足手まといはいらん。とっとと帰れ」
「……っ!!」
 いつになく刺々しい様子のユウリに、私は思わずムキになって口を出した。
「待ってよユウリ!! ルークは足手まといなんかじゃないよ。一人で何匹もの魔物を倒しちゃうし、ラーの鏡のある場所だって教えてくれた。それに、ルークもこの国がおかしいことはわかってる。なのに部外者だなんて、そんな酷いこと言わないで!」
「なんだと!?」
 ユウリもまた、反論する私に苛立ったのか、これでもかと眉根を上げた。だけどここで怯むわけには行かない。ルークは何度も私を助けてくれた恩人なのだ。その恩人に向かって失礼なことを言うのは聞き捨てならない。
 すると、今まで静観していたシーラが私とユウリの間に割って入ってきた。
「もう、今はそんなこと言い合ってる場合じゃないよ!! 早く王様のところに行かないと!!」
 彼女の切実な声に、隣にいるナギも呆れた顔でこちらを見ている。その姿に私は我に返った。
「ご、ごめん二人とも。そうだったね、早く行こう」
 先に走り出したシーラとナギを、私は慌てて追いかける。その後を、腑に落ちない様子ではあるがユウリとルークもついてきた。
「ユウリちゃん、ああ見えてミオちんのことすっごい心配してたんだよ」
 近づくなりこっそりと耳打ちするシーラの話の内容に、私は耳を疑った。
「え!? ……全然そんな風には見えないけど?」
「ラーの鏡の話が出たとき、ミオちん一人で探してもらうことになって、あたしだけじゃなくて、他の二人ももものすごく迷ったんだよ。もしミオちんが危険な目に遭ったらどうしようかって。結果的には一人じゃなくて安心したけど、ミオちんが来るまであたしもずっと不安だった」
「シーラ……」
「ユウリちゃんもあんなこと言ってるけど、ミオちんが無事に鏡を見つけて来てくれて、本当は凄くホッとしてるはずだよ。だからあんまり怒らないであげてね」
 そう言うとシーラは、優しく微笑んだ。
「……ごめん、シーラ。余計な心配かけさせちゃったね。大丈夫、怒ってないよ」
 私だって、ユウリが本当は仲間思いだと言うのは知っている。私がムキになったのも、ルークのことを仲間外れみたいに言ってるような気がしたからで、ユウリを責めたかった訳じゃない。
 ありがとう、ユウリ。私のことを信じてくれて。
 今更口に出すのはなんだか恥ずかしかったので、私は心の中でそう呟いた。


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