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神々の塔
第七十八話 光の神その三

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「自然にあるやろ」
「それこそ夜になったら」
「密室でもな」
「すぐあるね」
「これは自然の一部や」
 あくまでというのだ。
「文明の中にあるもんもな」
「人は自然の一部やし」
「その人が営むのが文明やさかいな」
 だからだというのだ。
「ほんまな」
「自然のものと同じやね」
「竈やと」
 ここでシェリルは文明の中にあるそれの話をした。
「今やとキッチンやな」
「そこやね」
「そこの神霊さんというと」
「ヘスティアさんやね」
「ギリシア神話やとな」
 ゼウスの姉妹である、最初は一番上の姉として生まれたが父ウラノスに飲み込まれ最後に吐き出されたので末っ子となった。
「あの女神さんやな」
「そやね」
「この女神さんもな」
「自然の一部やね」
「そや、それで自然の要素がや」
「大きいね」
「自然に善悪があるか」
 シェリルは綾乃に対して言った。
「もうそれはな」
「言われへんね」
「そや、竈に善悪があるか」
「ほんま何とも言えへんわ」
「ヘスティア女神のご兄弟にしても」
「ゼウス神は天空と雷の神様で」
「完全に自然でな」 
 そう言っていいものを司る神霊でというのだ。
「例え落雷に当たってもな」
「ゼウス神が悪いか」
「女好きで美少年も好きやが」 
 ゼウスに付いて離れない話である。
「まああの神話は出て来る神様も人もニンフもやから」
「下半身に節操ないさかいな」
 芥川も言うことだった。
「というか感情だけで動くな」
「あの神話に出て来る神様も人も」
「ついむらっときてとかかっとなってとか」
「そんなお話ばかりやね」
「そやからゼウス神もな」
 オリンポスの主神であるこの神もというのだ、尚海の神ポセイドン冥界の神ハーデスとは実はそれぞれの世界を治めていて関係は微妙な部分もある。
「女好きの男好きはな」
「スルーやね」
「そうしてな」
 そのうえでというのだ。
「考えてくとな」
「そうするとやね」
「もう自然であって」
 ゼウス自身もというのだ。
「人の尺度の善悪ではな」
「言い切れへんね」
「中南米のテスカトリポカ神も」
「邪神って言われてるけど」
「雨を与えてくれる」
「台風にして」
「そして戦を試練と考えてる」 
 人が乗り越えるべきそれであるとだ。
「そうしたことを見るとな」
「悪とは言い切れへんね」
「そや」
 まさにというのだ。
「これがな」
「そうなるね」
「善悪は人の主観ではわからへん」
「絶対の善も絶対の悪もなくて」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
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