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ハッピークローバー
第百三十九話 姉の忠告その九

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「いいことをすることね」
「そうかもな、いい人が困ってもな」
「助けようってなるわね」
「そうだよな」
「幸せになるにはいいことをする、そうした努力をする」
「それが大事かもな、それで何も危ないことがないなら」
 このことをだ、越智はまた話した。
「本当にそれだけでな」
「幸せよね」
「それでそこにな」
「いいことをしたら」
「いいだろうな」
「幸せになれるのね」
「用心して何もない様にして」
 それと共にというのだ。
「いいことをしていけばいいよ」
「そういうことね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「本当にこの団地も気を付けないとな」
「駄目っていうのね」
「この団地だって結構人いるんだぞ」
 それでというのだ。
「千人いたら一人はド屑がいてな」
「そのド屑が何するかわからないわね」
「ああ、だからな」
「団地の中でも危ないのね」
「物陰に変態がいてな」
 そうであってというのだ。
「襲って来るとかもあるだろ、遊びでボウガン撃つ奴だっているぞ」
「そんなので撃たれたら下手したら死ぬし」
「だからな」 
 それでというのだ。
「この団地の中でも女の子は夜はな」
「一人で歩かないことね」
「絶対にな」
「それで何もない」
「それがな」
 越智はまさにと言った。
「幸せだよ」
「そうよね」
「戦争だってな」
「なかったらね」
「平和だったらな」
 それならというのだ。
「それでな」
「幸せよね」
「何でもない様なことが」
「幸せね」
「江戸時代の日本だってな」
「二百年位平和でね」
「それでな」
 そうした国だったからだというのだ。
「幸せだったよ」
「当時の日本も」
「俺はそう思うよ」
「戦争がなくて」
「ああ、それだけでな」
「今はそう言われてるわね」
「何かな」
 越智はビールを飲みつつ嫌そうな顔で話した。
「あの時代悪く言う人いるよな」
「階級があったとか搾取があったとかね」
「マルクスだか何だかでな」
「まだそんなこと言う人いるのよね」
「大抵北朝鮮が好きな人が言うのよね」
「確かに士農工商あったよ」
 この階級がというのだ。
「実際にな」
「そうよね」
「けれど結構曖昧だったよ」
 その制度は実はそれ程確かなものではなかったのだ、農民が街に出て商いをするなぞ普通にあったことだったのだ。
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