第百三十九話 姉の忠告その三
[8]前話 [2]次話
「何かあってからじゃ遅くて何もなくてな」
「いいのね」
「それなら幸せだろ」
「何もないのが一番ね」
「そうだよ」
ビールを飲みつつ応えた。
「やっぱりな」
「何もないことが一番だから用心することね」
「切り裂きジャックなんかいきなり出て来てな」
神出鬼没であった、その為ロンドンを恐怖のドン底に陥れたのだ。
「とんでもなく短い時間で滅茶苦茶に殺してな」
「切り裂きっていう位に」
「そうして殺してあっという間に消えてな」
「捕まらなかったのね」
「今だってな」
事件が起こったのは十九世紀中頃だ、その頃のロンドンでのことだったのだ。
「誰かわかっていないしな」
「切り裂きジャックが誰か」
「そういうのいるんだよ」
「今だって」
「だから用心は絶対だよ」
「世の中って怖いってことね」
「学校には妖怪や幽霊の話多くてな」
自分達が通っている八条学園が世界屈指の怪談スポットであることから言った。
「この団地にも出るんだよな」
「塗り壁が出るっていうわね」
「妖怪も悪い妖怪じゃないといいだろ」
「驚かしたりする位ならね」
「幽霊だってな」
こちらの存在もというのだ。
「怨霊とか悪霊じゃないとな」
「いいわね」
「それと同じで人もな」
「いい人と悪い人がいて」
「悪人だったらな」
その場合はというのだ。
「やばくて悪人は何処にもだよ」
「いるわね」
「それで用心は必要だよ」
「そういうことね」
「美奈代さん出来た人だよ」
富美子の姉dである彼女はというのだ。
「本当にな」
「そうしたことがわかってるから」
「妹思いでな」
「確かにいつも助けてもらってるわ」
「しっかりしてるよな」
「ええ」
実際にとだ、妹の登美子も答えた。
「お姉ちゃんはね」
「本当にいい人だよ、だからな」
「お姉ちゃんの言う通りに」
「俺も言うしな」
「夜道には気を付ける」
「何かない様にな」
最初からというのだ。
「一人では歩かないことだよ」
「女の子だと」
「男の俺でも用心してな」
越智は自分のことも話した。
「夜一人で帰る時はバット持っていてるよ」
「袋に入れた」
「あれ振り回すだけで武器になるからな」
「袋に入れたままでも」
「バットで殴ったら死ぬからな」
越智は真顔で言った。
「下手したら」
「頭とかね」
「それでだよ」
「護身で持って行ってるのね」
「そうしてるしな、下校じゃなくても用心して警棒持ってるよ」
富美子に飲みながら話した。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ