第二章
[8]前話
「六甲に住んでいる」
「実在したのね、牛女」
「そうだったのね」
「そうなんです、それで今からですが」
牛女はさらに話した。
「こちらの学校の校門で」
「鹿と一緒にですか」
「不思議な踊りをですか」
「いえ、日本のラップを歌って踊ります」
牛女は冷静に答えた。
「そうします」
「不思議な踊りじゃなくてラップですか」
「日本の」
「六甲の鹿の方々にはお好きな方が多くて」
それでというのだ。
「毎日こちらで二時間位楽しんでいます」
「そうでしたか」
「不思議な踊りじゃなかったんですね」
「はい」
そうだというのだ。
「実は」
「そしてそれをですか」
「これからですか」
「学校には許可を取っていますので」
牛女は二人にこうも話した。
「ご心配なく」
「そうですか。それじゃあ」
「ここどきますね」
「すいません」
牛女は校門の前にいる二人に礼儀正しく言ってだった。
二人が校門の前から横に移動してから校門を開けた、そして後ろを振り返って言った。
「では皆さん今夜も楽しみましょう」
「はい、そうしましょう」
「皆で」
見れば何十頭もの鹿達がいた、彼等も応えてだった。
牛女に続いてぞろぞろと開かれた校門から学校に入ってだった。
グラウンドの中で牛女と共に日本語のラップを歌い踊りはじめた、芙美子はその光景を見て言った。
「いや、まさかのね」
「まさかよね」
「噂は本当だったわね」
「不思議な踊りじゃなくてラップだったけれど」
「世の中あれね」
芙美子はこうも言った。
「噂は噂でもね」
「本当のことである場合があるわね」
「ええ、これからは頭から否定しないで」
そうせずにというのだ。
「今回は実際に目で確かめたし」
「それでわかったわね」
「これからもね」
まさにというのだ。
「そうしていくわ」
「そうするのね」
「ええ、そしてね」
それでというのだ。
「今回は信じるわ」
「実際に見たし」
「そうするわ、それとね」
「それと?」
「いや、牛女さんも鹿さん達も普通に喋ってるけれど」
人間の言葉をというのだ。
「やっぱり妖怪だから」
「そうみたいね、あの鹿さん達もね」
「妖怪が実在することもね」
「わかったのね」
「よくね」
こう言うのだった、そしてだった。
二人共家に帰った、グラウンドでは今も鹿達が牛女と共にラップを楽しんでいた。そして以後芙美子は噂を頭から否定せずまずは見てからと言って実践していく様になったのだった。
噂の真実 完
2024・8・18
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