暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第215話:黒衣との対峙
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撤退しようとするが、テレポートジェムも取り出せず消耗した体では抵抗も満足にできない。危ういところで3人の拘束に成功した颯人は、取り合えず最悪の事態だけは防げたと安堵の溜め息を吐いた。

「ふぃ〜……」




「困るね、彼女達を連れていかれては」
〈ライトニング、ナーウ〉

 直後、何処からか飛んできた電撃が颯人に直撃した。突然の事に思わず顔を手で覆ってしまう颯人。飛んできた電撃は、何とアダマントストーンで出来た鎧を纏っている筈の彼を大きく吹き飛ばしてしまった。

「うわぁぁぁっ!?」
「「「颯人(さん)ッ!?」」」
「嘘だろッ!? あの姿のペテン師が吹き飛ばされんのかよッ!?」
「誰ッ!?」
「あ、あれは……!」

 切歌が指さした先に居たのは、黒衣の魔法使い……ワイズマンであった。彼は颯人を魔法で吹き飛ばすと、手に持つ赤く光る光刃の剣でヴァネッサとエルザを拘束している鎖を切り裂いてしまった。
 そのままミラアルクの拘束も解こうと動くワイズマンであったが、そうはさせじと颯人は痛む体を無理矢理動かして左手をハンドオーサーに翳した。

「させるかッ!」
〈インフィニティー!〉

 残像の様に光る軌跡を描きながら駆けた颯人は、ミラアルクの前に立ち塞がるとワイズマンに向けて回し蹴りを放つ。反応が遅れたワイズマンは手を颯人に蹴り飛ばされ、その勢いで体勢を崩してしまった。

「くっ!?」

 ワイズマンが体勢を崩し、次の行動に移る前に颯人は素早くミラアルクをこの場から連れ出す為に動いた。

「悪い奏、すぐ戻るッ!」
「ッ! 分かった!」
「させると思うかね!」

 颯人のやろうとしている事を即座に察した奏は、2人を逃がすまいと刃を振り下ろそうとしたワイズマンに槍を振り下ろす。奏の動きの方が僅かに早かったのか、ワイズマンの刃が颯人に襲い掛かる前に奏の槍がそれを邪魔した。

「ッ、装者は行動禁止ではなかったのかね?」
「抵抗禁止、とは言われてないんでね」

 仮面越しに睨みつけてくるワイズマンに不敵な笑みを返す奏。その後ろで、颯人はミラアルクと共に魔法でその場から転移してしまった。

〈テレポート、プリーズ〉
「ヴァネッサ!? エル――」

 光を放ち颯人と共に姿を消してしまったミラアルク。その光景にヴァネッサとエルザは顔を青褪めさせて手を伸ばした。

「ミラアルクちゃんッ!?」
「待つでありますッ!?」
「もう遅い。一度転移を許してしまえば、今頃はあちらの本拠地の中だろう。もう間に合わん」

 そう言いながら、ワイズマンは奏を睨みつつゆっくりと後ろに下がり指輪を取り換えた。それがこの場を去る為の行動であると察した奏は、しかし油断なく槍の先端を向けながら身構えていた。


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