黒星団-ブラックスターズ-Part10/盗人猛々しき
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めだと確信した。
「さあて、追いついたぜバロッサ星人」
「もはや貴様一人では勝ち目はない。命惜しくば大人しく投降し罪を償うんだ」
デルフを構えるゼロと、バトルアックスの刃先を向けるジャンボット。
まずい。非常にまずい。バロムは、一瞬だけ降伏に応じるべきではと思うほどにかつてない危機感を募らせる。
どうする?ジャンボット内に多くの盗んだアイテムを残し、今懐に抱えている限りのブツで対抗できる手段は…
「ふ、ふふふ…そうだな。流石にもうお手上げだ。しぶとく抵抗してみてはいたが、もはやこれまでのようだ。素直に負けを認めよう」
「何?」
予想外であった。確かに降伏勧告したとはいえ、両手をあげて降参のポーズを取るバロムに、ゼロたちは困惑した。
寧ろ裏があるのではとすら勘ぐる。
「だが、これで終わったと思うなよ。俺様の仇を弟たちが取ってくれる」
そう言ってバロムは一発のラグビーボールのような形状の黒い鉄の塊を取り出した。ちっちっち…と時計の針のような音が聞こえる。まさかとゼロたちの間で衝撃が走る。
だが、ゼロたちが察したその時に、バロムはそれを地面に叩きつける。
瞬間、周囲を爆炎が包み込んだ。
「けほっ、けほっ…あの野郎!」
「自爆してまで捕まるのを防ぐとは…なんという奴だ」
煙が晴れると、もくもくと周囲を漂う煙にむせるゼロと、最期まで降伏を拒否し続けたバロムの在り方に息を呑むジャンボットの姿が現れた。ネクサスも煙を払おうと、手を団扇がわりに仰ぐ。ふと、彼はある疑問を覚えた。
「自爆?…いや、それにしては変じゃないか?どうせなら俺たちを全員爆発に巻き込んで道連れにでもすればいいはずだ」
「言われてみれば確かに」
ネクサスの言い分を聞いて、ゼロとジャンボット、そして中にいるアンリエッタも同様の違和感を覚えた。
自分たちも、奴の性格を考慮し、その上で奴の立場に敢えて立って考えたら、自爆を選ぶ際は十分な威力を持つ爆弾を使うはずだ。相手を全滅させられずとも、十分な深手だって負わせられる。だというのに、全員無事だ。それもさほど傷を負っていない。せいぜい煙幕程度の…
そこでゼロは気づいた。あいつが持っていたものの中には確か、透明化できるマントがあったはず。
「違う!自爆したんじゃない!
あの野郎、透明化して逃げやがった!」
「何!?」
「透明化だと?奴にはそんな能力があったのか?」
驚くジャンボットと、胸中で同様に思いながらも、平静さを維持しつつゼロに尋ねるネクサス。
「いや、奴自身の能力じゃねぇ。あいつには透明怪獣の毛で織ったマントがあるんだ。あの野郎、最初から逃げる気だったんだ!」
通りで、自分たち三人を相手に、頭数においても無謀さとしか思えない抵抗を試みた訳だ。敢えて自分たちの相手をし、隙を作って逃げ仰るためだっ
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