第三十話 夢で会ってその七
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「あの人はね」
「そうでしたか」
「それでね」
「詩人でもあったんですね」
「それも評価高いのよ」
「ただ作っていただけでなく」
「これがね、山縣有朋さんもね」
伊藤博文と何かと対象的であり盟友にしてライバル関係にもあったこの人物もというのだ。
「和歌を詠むのが趣味で」
「山縣さんは和歌ですか」
「やっぱり歌人としてもね」
「評価が高かったのですね」
「幕末生まれの武士の人ってね」
夜空はさらに話した。
「教養が高かったから」
「漢詩や和歌を嗜んでいましたか」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「評価が高かったのよ」
「そうでしたか」
「伊藤さん達は志士だったけれど」
幕末の時はというのだ。
「対する新選組もね」
「長州藩の宿敵ですね」
「当時薩摩藩とも犬猿の仲だったけれど」
だがそれを坂本龍馬が仲介し同盟に至らせて統幕につなげたのだ。
「新選組はそうだったわね」
「色々言われてますね」
「けれど近藤勇さんは漢詩がお好きで」
元々は農民であったがだ。
「芹沢鴨さんは和歌詠んだのよ」
「芹沢さんがですか」
「意外よね」
「あの人は酒乱で粗暴で」
「確かにそうした一面はあったわ」
芹沢鴨という人物はだ、よく新選組を扱った作品では彼のそうした面が描かれ悪者として存在している。
「けれど実は親分肌でね」
「人望があったとか」
「そう、あって」
実際にというのだ。
「器が大きくて肝が据わっていて」
「そんな人でしたか」
「如何にも大物って人でかなりの勤皇派でもあったのよ」
「新選組は幕府なのに」
「しかも強いね」
「そんな人が幕府の警察のトップですと」
どうなるかとだ、白華は考えて述べた。
「幕府、新選組の上の会津藩としては」
「面倒よね」
「かなり」
「だからね」
それが為にというのだ。
「芹沢さんは乱暴だったからじゃなくて」
「そうした面が幕府にとって厄介だったので」
「粛清されたみたいよ」
「そうでしたか」
「腕の立つ警察隊のトップがそんな人だったら」
真昼も言った。
「何時志士の方に行くかわからないでしょ」
「大勢の強い人を引き連れて」
「実際芹沢さん人望あって当時の組の四分の三位従えていたそうよ」
即ち新選組当時の浪士隊の殆どをだ。
「五十五人いて四十人位がね」
「芹沢さんのですか」
「派閥だったしいから」
「確かに四分の三位ですね」
「それだけの腕の立つ人が一気によ」
芹沢がその気になればというのだ。
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