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昔はヤクザ屋さんだったお家
第二章

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「今みたいなな」
「普通の会社になったんだな」
「完全にな」
「そうだったんだな」
「昔はそうだったんだ」 
 父は穏やかだが真面目な顔で話した。
「建設の世界はな」
「ヤクザ屋さんの世界だったんだな」
「そうだったんよ、人を集めるのも仕事の中身もな」
「ヤクザ屋さんか」
「荒っぽい仕事だったんだ、けれど今は違うからな」
 隼人は志郎に笑って話した。
「昭和の話だ、今は令和でな」
「ヤクザ屋さん少なくなっていうな」
「うちみたいに辞めてな、だからな」
「うちも今は違ってか」
「まともな会社だ、だからお前が社長になってもな」
 息子に笑顔で話した。
「ヤクザ屋さんじゃなくてな」
「普通の会社としてだか」
「やっていくんだぞ」
「ああ、そうしないと駄目だよな」
 息子も確かにと頷いた。
「会社やるならな」
「真面目にやらないとな」
「そうだよな」
「今は建設もだ」  
 こう息子に話した、そしてその息子は進学校で真面目に勉強してその地域で有名な大学に進学してだった。
 力道建設に入社しやがて社長となった、彼の経営も真面目でホワイトでそこにヤクザ屋さんの要素は全くなかった。
 だがそれでもだ、今は会長になっている父に自宅で一緒に飲んでいる時に話した。
「建設の世界も昔はヤクザ屋さんだったのはな」
「それも歴史だってことだ」
「そうだよな」
「今よりずっとな」
 父は話した。
「ヤクザ屋さんは多くてな」
「色々な業界に関わってたんだな」
「ああ、昔はな」
「そうだったことはな」
「歴史だからな」
「覚えておくよ」
「そうしておくんだぞ」
 こう言ってビールを飲んだ、息子もそうした。二人の飲む仕草にも荒いものはなく一般市民のものであった。


昔やヤクザ屋さんだったお家   完


                      2024・8・17
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