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邪教、引き継ぎます
第四章
40.青肌の男
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に逝ったようであった。






「とても助かりました」
「お前がフォルか? 礼儀正しいな。なかなかよい」

 巨大な竜に見下ろされているのだが、フォルは不思議なほど怖さを感じていなかった。
 その目、佇まい。初めて見る竜王のひ孫の姿は、大きさこそあれど穏やかな雰囲気で、威圧とは正反対の印象ですらあった。

「私の名前をご存知なのですか?」
「もちろんじゃ。お前にあいさつするために来たのじゃからな」
「えっ!? いや、この礼拝堂での用事が終わったら、私たちがそちらにごあいさつにうかがう予定だったのですが」
「そう聞いたから、急いで会いに来たのじゃ」
「えええ!?」

 ロトの子孫三人組からハーゴンの討伐報告を受けていたこと。ラダトームの者から「悪魔神官の部下だったフォルという魔術師が、ロンダルキアで教団を再建している」という噂も聞いていたこと。
 今回、とある筋から、フォルが海底の洞窟に行き、その後に竜王の城に行く予定であるという情報を得たこと。それを受けて自分からロンダルキアに行ったが、フォルたちは海底の洞窟に出発した直後だったということ。そこで慌てて海底の洞窟に追いかけてきたこと。
 ここに至るまでの経緯を、竜王のひ孫は丁寧に説明した。

「しかし、竜王様がわざわざ私などに会うために自ら出向かれたというのは、なぜ――」
「わしなりのお返しじゃ。お前の上司だった悪魔神官が、二度わしのところに来たからな」
「……!」
「わしは教団をあまりよくは思っていなかったゆえ、一度は会わずに追い返した。じゃが彼はあきらめずにもう一度来た。礼節をわきまえた、なかなかよい男であった」

 竜王のひ孫はそう言うと、「他に何か聞きたいことがあれば答えるぞ」とフォルだけでなく全員を見渡して言った。

「はーい、質問! さっき言ってた『王の中の王、竜王のひ孫』って、『王の中の王』の部分はどこに(かか)ってるの? 竜王が王の中の王できみがそのひ孫なのか、竜王のひ孫であるきみが王の中の王なのか、どっちなの?」
「おいこらタクト。お前しょうもない質問するなよ……」

 バーサーカーの少女が(とが)めるが、本人はウキウキした顔のままである。

「お前は礼儀知らずだな。だがそれもなかなかよい。それはどちらの意味にも取れるように言った。解釈は任せる」
「へー! じゃあ次の質問というか、お願い。この杖、もらってもいい? 竜王に会えた記念ってことで」
「よいぞ。やろう」
「やったー! 大事(だいじ)にするよ。鱗も一枚くらいならもらっても大丈夫?」
「うむ。剥がすのは少し痛いが一枚くらいならよいぞ」
「いえーい!」

 ミグア、ケイラス、シェーラ、ダスクは、揃ってタクトの奇行を呆れ半分で眺めていた。
 
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