第74話「封印岩盤の全師団に通達!」
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
寺院内部の中央に位置する、球体状の物体が明減する。
悲鳴を上げているかのような激しさがあった。一撃で宇宙戦艦の装甲さえも融かす高エネルギーの陽電子ビームが、その球体状の物体に衝突した。
しかし、それ以上の変化は無かった。
傷は無く、ただ明減するだけだった。
「砲身温度、限界に達します」
「照射を一時停止」
瞬間、陽電子エネルギーが消える。それと共に、先刻までの激しさは失せ、深呼吸するかのような穏やかさとなる球体状の物体。穏やかな鼓動だ。
陽電子ビームの照射中止を指示した将軍―――ザンツ・ザバイバルは、球体状の物体―――《テレザリアム》の光景を艦橋内部から見つめていた。
《テレザリアム》は、惑星テレザートの最大級の島の地下深くに位置していた。寺院内部にしてテレサの聖域、《テレザリアム》。
テレザート星での栄華は、遥か過去へと消え去った。科学文明を棄てた彼らは聖域を守るためだけに、世代を重ねるだけに過ぎなかった。
最も、そんな彼らは既にこの世を去った。
何故ならば、ガトランティスの兵器―――ニードルスレイブによって攻撃されたからだ。
ニードルスレイブだけではない。
かろうじて生き残った者達はこの聖域に立て籠もるが、失敗した。分厚く頑丈な扉は赤熱化し、扉は真っ赤になると同時に融けだし、融解した扉からやって来る紅蓮の炎が最奥部を舐めた。
かつて聖域は緑溢れる植物で覆われていた。長い年月の時を掛けて伸びた樹木の根が壁や天井を覆い、地面には色とりどりの花でいっぱいだった。
しかし、だ。
それらの影形はもはや無い。ただ、聖域には球体状の物体だけが残った。陽電子ビームで照射していたのは、球体状の物体の”殻”を破るため。その理由は、球体を破壊すればテレサが現界するからである。
「いつになれば、殻を破れるのやら…」
どのくらい時間が経過したことだろう。宇宙戦艦ヤマトが地球を発ってからも、陽電子ビームを浴びせている。
連続照射には限界がある。砲身が過熱する度に、一定の時間を置かねばならない。テレザート星へ侵攻したその日から繰り返してきたというのに…。
その時だった。AIの報告がザバイバルの耳に入ってきた。
「テレザート守備艦隊の壊滅を確認。《ゴーランド・タイプ》、二体とも生命反応を途絶。敵は〈ヤマト〉ではありません、ブリリアンス艦隊です」
彼は瞑目する。ゴーランド艦隊の壊滅は、自分には想像もしていなかった。それは、ブリリアンスも同様だ。
しかし、ブリリアンスが来た理由は想像がつく。おそらく〈ヤマト〉と同じく、”呼ばれた”のだろう。
守備艦隊は、確かに壊滅した。しかし、まだ負けていない。自分が率いる、陸戦師
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ