第69話「惑星の崩壊と運命を共にしてください」
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!”分身体”とはいえ私だぞ、スヴェートだぞ!見捨てるとは何事か?!』
「ヒッグ!!ドウシタンダー!!ヒッグ!!」
迷惑電話のようです、と母を慰める娘スラクル。そんな彼女は微笑みから一変し、無表情で投影スクリーンに映る3号へ言い放つ、
「―――惑星の崩壊と運命を共にしてください、3号」
母には優しく聖女のような声音であったが、3号には冷たくゾッとする声音だった。
『…え何、急に態度が冷たいんだが。私が知るスラクルはどこに??』
目をパチパチさせ、困惑する3号。
それが、最期の通信となった。
『は、波動砲ッ!?!?……』
スラクルは強い目線でバトルドロイドに、既にノイズで支配されている通信を切らせた。
「個体名:3号、マタノ名ヲ―――ラウラ。生命反応、途絶」
「ヒッグ!!何カッ、アッタノカ?ヒッグ!!」
一瞬にして無表情を消したスラクルは、聖女のような穏やかで優しい色を向けた。
「貴女が気にするまでもありませんよ。ただ、迷惑電話を処理しただけですから」
スラクルは母の涙をハンカチで拭くと、再び抱擁を交わした。
「さぁ、帰りましょう。―――我が家に」
〈スヴェートT世〉と護衛艦隊が帰路につく最中、母スヴェートの背中をよしよしと撫でる娘スラクルの口元は、半月を描くかのように弧に歪み―――喜悦に満ちていた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
―――同時刻。
伝説の惑星―――《テレザート》が座する星系外の空間にて。
漆黒と紅いマーキングが施された―――全長1100m級の戦艦が、漆黒塗装が施された多数の楔型の戦闘艦を従えて行進していた。
彼らもまた、〈ヤマト〉と同じく《テレザート》に進路を執っているのだ。
この漆黒艦隊を率いる人物は、長い黒髪と黄金に輝く瞳を持つ美女である。
鈍い光沢を放つ漆黒の鎧を身に付け、靡かせる真紅のマントには二丁の大釜を交差させている。
その戦艦の玉座に身を預けている彼女は、左手で持っていた人造人間の頭を放り投げた。ライトセーバーで切断していないからか、首からはドクドクと血が流れていた。
喜悦の色を浮かべるダークネス卿の双眼の瞳孔は、猫のような縦長であった。
彼女は瞑目する。
「待っていろ、女神テレサ。この私が、貴様の星を包囲しているガトランティスを殲滅してやるからな」
その心眼には敵旗艦に乗り込んだ自分が、狼狽えて喚く敵兵を駆逐する姿が映し出されていた…。
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