第59話「第十一番惑星、救出作戦を開始する!」
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したままだった。その視線の先にあるのは、先と同じ第十一番惑星。全員の視線が注がれる中、古代は告げる。
「〈ヤマト〉単独で突入するには、この状況は過酷だ」
だが、と彼は顔を上げると同時に断言する。
「《バラン星》の時と比べれば、ものの数ではない」
バラン星とは天の川銀河と大マゼランの中間に位置する浮遊惑星で、アケーリアス文明の遺産―――亜空間ゲートが存在しエネルギープラントをも管理するガミラスの中核基地である。
眉を顰めるキーマンに構わず、古代は言葉を紡ぐ。
「あの時の、沖田さんの戦術に倣う。ワープアウトのポイントは、人工太陽と地表の中間だ。―――死中の活を求める、だ」
古代は、あの時の事を追憶した。
あの時、《バラン星》では一万隻を軽く超えるガミラス戦闘艦が集っていた。当時は知らなかったが、閲兵式が行われていたのだ。
真田は迂回を提示したのに対し、艦長の沖田はその反対だった。驚愕する全員に対し、あの時の沖田はその理由をこう述べた。
『これを迂回した場合、時間はロスするが1万隻を超える大艦隊の脅威はパス出来る。ただし、ガミラスに再補足された時、大艦隊の一部が亜空間ゲートを用いて先回りし追撃に回されれば、如何に〈ヤマト〉といえども沈む可能性は高い』
『だが、後を考えれば、この状況は同時にチャンスとなる。単独で《イスカンダル》を目指すとなれば、遅かれ早かれこの大規模艦隊の一部とは必ず交戦する必要が出てくる。もしガミラス艦隊戦力の大部分がバラン星に集結しているならば、大マゼランは手薄。今一度言うが、この状況はチャンスだ』
敵方の心情で考えてみれば、〈ヤマト〉単独に対しガミラスは一万隻を軽く超える大艦隊。正気であれば、普通は突撃したりしない。
この戦いだけを見れば、真田のその判断は正しかっただろう。しかし、沖田の「死中に活を求める」は、イスカンダル航海全体が死中であり、その中でこの戦いこそが”活”を戦略的に見出すことが出来ると踏んでの判断だったのだ。
もしもこの場面一つだけを見て沖田が無鉄砲な突撃をする人物ならば、そもそも偵察した意味はないのだ。
そうして、作戦は決行された。
閲兵式中の横っ腹に突撃した〈ヤマト〉は《バラン星》の雲海に突入し撃沈を装い敵の油断に成功し、エンジン全開で《バラン星》を離脱後にゲートを背にし波動砲を発射。《バラン星》のエネルギープラントを撃ち抜き、重力アンカーの解除によって〈ヤマト〉は一気に後退と共に亜空間ゲートへ突入。
大マゼランに到着したことで、作戦は無事に成功。《バラン星》は崩壊し、ガミラスの大艦隊は約90日の彼方に置き去りとなった。
「危険過ぎる」
島は抗議した。真田と徳川も、彼と同じだ。
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