第59話「第十一番惑星、救出作戦を開始する!」
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い声音で、土方の発言を理解が出来ないようなものだった。ガトランティスの指揮官が訊き返したのは、言葉の意味が伝わっていないから。いや、或いは、そもそも「降伏」という概念が存在しないのだろう。3号はそう思った。
『こうふく、とは何だ?それは、どのようなものなのだ?』
事実、ガトランティスの指揮官は問うた。「降伏」という概念は、自分達にとって未知なるものだから。土方は、降伏とは何かと簡単に答える。
『降伏はものでは無く行為を示し、敗北を認め戦いを終わらせることだ』
『そうか…』
降伏、降伏、とガトランティスの指揮官は繰り返し口にする。そんな彼に、土方は告げる。
『貴官らは―――』
『戦いを終わらせたいのか?』
ガトランティスの指揮官は、土方が続けようとした言葉を遮った。そうだ、と彼が答えるよりも先に、敵の指揮官は冷たくゾッとするような声音で告げた。
『―――ならば死ね、戦って死ね』
直後に、地鳴りのような音が交じる。司令部が爆撃を受けているのだと、3号は理解した。
『さすれば、この星にも安寧が訪れる』
爆撃が一層に激しさを増したであろう音が聞こえると共に、土方とガトランティス指揮官の交信は途切れた。代わりに、砂利を混ざるような雑音が流れている。
天城が操作すると、通信機の電源はオフになった。部屋は、シーンと水を打ったように静まり返る。
なんて怖い種族なんだ、と3号はドン引きしていた。我がブリリアンスとは違うな、と彼女は思う。クロイン以下の国家群との戦争時では軍人のみをサヨナラしているし、武器を持っていない民間人には手を出すなと指示。我がブリリアンスの属国と化した異星国家群に対して、我々ブリリアンスは丁重な扱いを今もしている。なんて優しいんだと、彼女はそう思わずにはいられなかった。
「戦って死ねだと、…上等じゃねぇか!」
ふん、と斎藤は鼻を鳴らしたことで3号は現実に戻る。斎藤はコンソールの一角に向かい、太い指先で操作していく。するとディスプレイにこの施設内に存在するカメラを通して、宇宙船発進口の映像が表示されていた。
「だが、戦いは俺ら軍人の務めだ。民間人を巻き込む訳にはイかねぇ!」
映像には垂直発進型の宇宙船が屹立しており、その下部には束ねられた推進ロケットが集中していた。ガミラスの宇宙船ではない、地球が建造した宇宙船だ。それを知っているのか、空間騎兵隊の女軍人はその名を口にする。
「高速艇〈シーボルト〉?」
彼女に対し、斎藤は頷く。そういえば彼女、私の手を引いて助けてくれた女軍人だったな。確か名前が―――永倉詩織だったか。容貌はブラウンのロングヘアをポニーテールに纏め上げているが、3総ほど前髪が垂れている。口
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